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富士の裾野で想うVet

地方獣医の徒然記

診察に来られた飼主さん。

受付でのやり取り。


診察券を出してもらい、カルテを出す。

そして今日の来院理由を聞く。

新患であれば、問診票を渡す。

飼主さんと動物の情報を書いてもらう。


「今日はどうされましたか?」


「具合が悪いから診て欲しいだけど・・・」


う~ん、困ったな~。

そりゃ、フード買いに来た訳でもなく、

予防注射を受けに来た訳でもなく、

健康診断を受けに来た訳でもなく、

里親探しの情報を聞きに来た訳でもなけりゃ

(他にもあるかもしれないが)、

どこか具合が悪いんだろうね~。


その具合がどんなものなのかを知りたいんですけど・・・


動物から直接話を聞く訳にもいかないから、

飼主さんに現状を聞かないと話が進まない。


どういう症状が出ているのか。

いつから始まっているのか。

その間の経過はどうなのか。


原因と考えられる事はあるのか。

同居している動物がいれば、その子はどうなのか。

初めての症状なのか。

前にもあったのなら、それはいつの事なのか。

他院からの転院であれば、治療はどういう事をしているのか。

などなど。


こちらとしては聞きたい事が山ほどあるのに、

一言 「具合が悪いんです」


ここからが、受付のVTさんの腕に見せ所。

イライラしているのが分かる口調で、

「その具合を聞いているんです!」

なんて言ってしまったら、

飼主さんは、心の中で

「なに、この病院、感じ悪いわね」ってなってしまうだろう。

たとえ顔に出さなくても。


まあ、こんな事をするのは、受付としては失格。

初めての人もいれば、

どう説明すればいいのかが分からない人や、

診察してもらえば分かるだろうと思っている人や、

飼主さんは色々。


受診に来て、何を、どう言えば良いのか。

1回目は無理でも、2回目3回目からは出来るように、

ポイントを伝えていくのも、VTの仕事の内。

これは経験が必要。

たまに最初から出来るVTさんもいるけど。

コミュニケーションテクニックの一つかな。


困るのは、連れて来た人が動物の病状を分かっていなくて、

連れて行ってくれって言われたから来ました、って言うパターン。

問診で得られる情報が皆無。

この時は、視診・触診・聴診・打診をして、

出来る限りの情報を得なければならない。


頼みますから、動物病院の診察に来る時は、

その子の状態が分かる人が連れて来て下さいね。


仕方なく人に頼む時は、

メモで良いから病状を書いたものを渡しておくとか、

先に電話で状態を伝えてもらうと助かります。