2年前のことである。
ふと画面を見ると目に入ってきたのは、借用書の三文字。差出人はというと、自分の父親である。
主人に一体このメールは何なのか、問いただした。すると、私の父親にお金を貸した事を打ち明けたのであった。金額を聞かないわけにはいかない。
でも、なかなか言わない。
さらに追求すると、
人差し指を指したので、100万だと思った。
しかし、
一桁違かった。
1000万だった。
事業がうまく行っていないことを考えると、返ってこないだろうと思った。
返済されないまま数ヶ月が過ぎた。
その頃父は、土曜日も仕事に行くようになっていた。忙しいのかなとも思いつつ、派手なジャケットを着て仕事に出かける父を怪しくも思った。
主人がコツコツと貯めたお金を女に貢いでいたらと思うと、何もせずにはいられなかった。そこで私は、父の後をつけることにした。
事前に父のスケジュールを母から聞き出し、最寄駅で待ち伏せをした。すると、派手なジャケットを片手に駅の改札を入って行くのが見えた。
父と同じ車両に乗り、どこで降りるか観察した。
やはり職場の最寄り駅ではない駅で降り、銀座線へ乗り換えた。最終的に、父が降りたのは日本橋だった。
某ビルの前で、待ち合わせをしている様子であった。遠くの方から、着物を着た中年の女性が歩いてきた。
2人は川沿いのお店へ入って行った。
あの女は誰なのか。
クラブのホステスなのか。
浮気相手なのか。
女と遊ぶ金があるなら、早く金返せ。