食と思い出はきっても切り離せません。
思い出の味と、そのエピソードを書いて参ります✨

 小学生の頃、父と二人で夏休みを利用して祖父母の家に行きました。確か、母親は体調が悪く母方の実家に帰っていたと思います。
 久しぶりの祖父母に会えて嬉しかったものの、母親と離れて急に寂しさが出始めた頃、それを察したのか祖母が買い物に連れて行ってくれました。

 好きなお菓子を買っていいと言われて、その時の私はミッキーのパッケージのホットケーキミックスを祖母にねだりました。祖母のおやつはもっぱら『とらや』の羊羹や最中など高級志向だったのと、久しぶりに会った孫にいいお菓子を食べさせてあげたかった気持ちだったのか、ホットケーキミックスの箱を見て眉をひそめていました。

 祖父母宅に戻り、祖母と一緒に作り方の勉強しました。祖母は料理上手でしたが、ホットケーキを作るのは初めてだったらしく、眼鏡をかけて作り方と手順の確認を念入りに行っていました。今、思い返すとお手伝いだったのか、邪魔だったのか分かりませんが、祖母と二人でホットケーキを作り始めました。

 初めてとは言え、料理上手な祖母のお陰で無事に共同(?)のホットケーキが出来ました。初めて作ったホットケーキの味も感動的だったのですが、いまだに心に残るのは祖母の表情と言葉でした。『こんな安いものが美味しいはずないと思っていたけど、けっこう美味しいもんだわー』と笑顔で言っていました。私はもちろんそうでしたが、祖母も楽しかったらしく、祖母が『また、ホットケーキ一緒に作ろうね』と約束をして祖父母宅を後にしました。

 その約束を果たせたのかどうか記憶が曖昧なまま月日が流れてしまいました。祖母は10年前程に亡くなってしまいましたが、その思い出がいまだに忘れられません。
 今はすっかり一人でホットケーキも焼けるようになって、腕も上達してきました。祖母が生きていたら、上手になったでしょ?と自慢したかったなと思ったりします。
 今は、パンケーキって言うんでしょうか?笑 ホットケーキを作る度に、祖母を思い出します。そして、料理の楽しさを教えてくれて、ありがとうと感謝しています。