職業訓練 面接


「カジュアルではない面接に合った服装」


もう20年近く面接なんて受けたことがない。

そもそもちゃんと就職活動もしたことないからスーツなんて着たことなかった私は慌てふためいた。

なんとか手持ちの服でやりすごそうとクローゼットを漁り、そういえば子供の入学式の為に「こんなんでいいか」と無難な黒ジャケットを買っていたことを思い出す。

過去の私、グッドジョブ。

シャツは白なのか淡い黄色なのか。ヨレヨレだがシフォン素材だし、最初からこんなデザインですが?みたいな顔で着ていけば問題ないだろう。

……腕周りがきつすぎる。派手な動きをしたら、ラピュタの親方よろしくシャツが弾け飛びそうだ。

だが運動しにいくわけではない。面接なのだ。逆に戒めとなって我が体を諌めてくれるはずだ。

お次は黒ズボン。これはさすがに持っている。葬式用のテロテロしたやつでいいだろう。これでも一丁前に大人なのだ。

……やはり腹がきつい。なんだったらファスナーは閉まるが、ファスナーまわりの縫いが甘く、一部肌が露出してるまである。だが、それも前面ではなく右側部にあるのが幸いした。前からはまったくわからないのだ。そう、シャツとズボンも「ジャケット着ちゃえばわからない」のだ。


ふふん。これでいってやるぜ。


20数年ぶりの面接は、トンチンカンな服装から始まった。