今日から何回かに分けて、メーカーの経営者向けのお話をします。製造業にお勤めではない方には難しい内容になりますから、スルーして「古賀光明のビジネス相談」の方をご覧ください(笑)。



さて、メーカーの経営者の方は、お客様から値段を叩かれて、利益が出ないことを嘆いておられるのではないでしょうか?


そして、「本当に利益が出ているのだろうか?」、「うちの製品の原価はいくらなんだろう?」と、疑問をお持ちの方も多いでしょう。



私はサラリーマン時代に、何社かで原価計算を行なっていました。


また、経営コンサルタントとして独立してからも、原価計算をどうやれば良いかを、よく聞かれています。


私からの答えは一つです。


「原価計算をしても、正確な単位当たり原価は出ません。」



理由の詳細は、私のホームページの「経営のためのコラム」の「原価計算のためになるお話」に書いています。




簡単にお話しますと、


「全部原価計算では、固定費を、売上や数量などによって単位当たりに割り振っていますので、正しい原価を求めることはできません。


経営者は、原価に注目するのではなく、収益(売上-直接原価)に注目し、直接原価計算を行うこと」


をお薦めしています。



ただし、メーカーの場合は、製造業務によって収益をあげるのですから、製品毎の単位時間当たりの収益を出す必要はあります。



有効なのは「賃率計算」です。



賃率とは、直接工の単位時間当たりの付加価値(加工高、粗利)のことです。



単位時間は、メーカーでしたら分単位がいいでしょう。

少し砕けた書き方をしますと、「工場で働く人が、分単位で、いくらの利益を出しているか」を見るものだということですね。




賃率には次の3つがあります。


1.損益分岐賃率

2.必要賃率

3.実際賃率





損益分岐賃率

= 単位期間の全ての固定費

÷ (単位期間の直接工の総工数☓出勤率☓操業度)


単位期間は一年を使ってください。


1年間の総固定費を、直接工の総工数(これは分単位の時間で表します)で割りますと、1分当たり、いくらの付加価値(粗利)を生み出さなければ赤字になるかが分かります。


例えば、固定費が1億円あって、総工数が100万分とすると、損益分岐賃率は100円/分となります。直接工が1分間に100円の付加価値を生み出して、損益がトントンだということです。





必要賃率

= (単位期間の全ての固定費+必要利益)

÷ (単位期間の直接工の総工数☓出勤率☓操業度)


必要賃率は、固定費に必要利益をプラスして、会社としての目標利益を達成するための目安を出すものです。

もし必要利益が4000万円なら、上記例で計算しますと、必要賃率は140円/分となります。





実際賃率

= 特定製品の付加価値の実績

÷ 特定製品に投入された直接工の総工数実績


これは製品毎に実際いくらの付加価値を生み出したかを分単位で出すものです。

例えばA製品の付加価値が3000万円としましょう。そして、A製品に投入された直接工の工数実績が20万分とすると、150円/分が実際賃率となります。

これだと必要賃率140円を上まっていますから、優良製品ですね。



ちょっと固い話になりましたが、メーカーの方にはとても大事な内容です。

次回は「賃率」の使い方を書きますね。



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