洛陽の門前で杜子春という男が途方に暮れていた。
そこへ声をかけてくる老人があり、
「夕日の中に立って、お前の影の頭の部分を掘ってみろ。
そうすれば黄金がでてくるぞ。」と言う。
老人の言葉通りにすると黄金が手に入り、杜子春は大金持ちになった。
金を手に入れると杜子春はぜいたくの限りを尽くした。すると、いつの間にか金は底をつく。
友人も彼から離れていった。
杜子春が再び洛陽の門で途方に暮れていると、あの老人がまた声をかけてきて、
黄金のありかを教える。杜子春は再び黄金手に入れるが
また使い果たしてしまうのだった。
3度、杜子春が洛陽の門前でたたずんでいると、また老人が声をかけてきて
黄金を指し示すが、杜子春は首を振る。杜子春は人間に嫌気をおこしており、
老人に弟子入りを志願する。杜子春は峨眉山で仙人の修行を始め、
「何があっても一言もしゃべらなければ仙人にしてやろう」と言われた彼の前には、
様々な幻覚が現れるが、彼は決して口を開かない。
閻魔大王の前でも杜子春はしゃべらない。
しかし、馬の姿となった父母が連れてこられ、むち打たれる。
「私たちのことはいいから幸せになりなさい」という母の声を聞いた杜子春は、
思わず「お母さん」と叫んでしまう。
杜子春は仙人になれなかったが、
人間らしさを守れたことに喜びを感じていた。
それを見た老人は、1軒の家と畑を与えて彼のもとを立ち去るのだった。