文学史上の位置付けとしては、
日本のプロレタリア文学の最高傑作とされる。
内容は、北洋の蟹工船で働く労働者たちが、
資本家の圧迫に対して怒り、
階級意識に目覚めて資本家と闘おうとする姿を、
特定の誰かを主人公とすることなく、
労働者を集団として捉える視点をとり、活き活きと描く。
とりわけ、特定の誰かを主人公とせず、労働者を集団として捉えて、
資本家との階級闘争を行うという内容は、団結により交渉力を高め、
資本家と対峙していくという労働法の基本に則ったものであり、
資本主義社会のおいて労働者はいかにあるべきか、
その本質を端的に示しており、本作が傑作といえる所以である。