2020年、新型コロナウイルスの脅威が
世界を覆っている。さまざまな憶測や情報が飛び交い、不安を煽られる。
何が正しいかわからないまま、流されるようにマスクやトイレットペーパーを買い込む人があとをたたない。未知の感染症が出現した際に大事なのは、マスクが有効かという些末な事実ではなく、情報集め全体像をつかむことである。著者は、感染者を乗せたまま香港から日本にやってきたクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセスへの初期の対応不備を告発した。実際クルーズ船に乗り込んだ医師だからこそわかる現場の空気感、行政のゆがみが、本書を通して生々しく伝わる。
著者の怒りに、私たち一人ひとりも共感できることと思う。