7年ほど前になるが、自分の知り合いが表参道にヘアサロンをオープンした。

セット面が5〜6席程の小規模サロンで、従業員は彼を含めて3人くらいだったと記憶している。

もともとは郊外のサロンで働く彼は、いつか表参道、青山エリアで独立するのが夢だった。年に数回しか会ってはいなかったが、彼のその夢は何度も聞いていて、彼と話す度に徐々に実現が近づいているのを感じていて、僕もそんな彼の夢を応援していた。
ただ、
『資金が○○万円たまってきた』とか
『○○あたりに物件が決まりそう』と言ったような具体的な話が出てきた辺りから、その友人を応援する気持ちと同時に不安も増えていった。


あいつ、やってけるのかな…



僕は彼とは一緒に働いた事がないので、彼の技術がどの程度かは知らない。もちろん彼の人柄は良いと思う。だから付き合いがあったのだから。

彼は表参道まで、1時間程かかる郊外で働いていた。来てくれると言っていたお客さんもいたようだが、もともと原宿、表参道エリアで働いていて独立するのとは訳が違う。

そして数ヶ月後、長年の夢だった表参道に彼は自分のサロンをオープンさせた。





しかし、1周年を待たずして彼は、店を閉める事になったのだ。




後で聞いた話だが、お客さんがほとんど入らず売上が全く立たなかったらしい。

その後、だんだんと疎遠になり現在は連絡も取れない状態になってしまった。



おそらく彼は、もとのお店でもお客さんも付いていたみたいだし、美容師としては優秀だったのかもしれない。
ただ、経営者としては残念ながら弱かったのだろう。

1年の間に、やれる事はもっとあったはずだし、そもそも高い家賃を払っていくだけの売上確保するための予測が甘かったのではないだろうか。マーケティングが十分ではなかったのではないだろうか?

周りから見たら勢いで独立したように見える人も最低限の準備はしているだろう。




結局彼は、表参道に自分の店を持つという夢は叶えたが、彼の夢は1年で幕を閉じてしまったのだ。



自分の店を持つことより、その先ずっと継続していくことの方が遥かに大変なのだと、彼の姿を見て強く感じたのを覚えている。