青い月の下
群れを外れた狼の親子は必死に走る。
走って走って。
森の中を疾風のごとく走り息を切らせ
枝に掠れ傷つこうと
子が疲れたと、立ち止まりそうになりながらも
俺たちは走り続けるのだ。
生きる為に。
「人里に降りるな」
我が可愛い息子に言い聞かせては
暗い洞窟の中に身を潜めて、
息を殺して
朝日を待つのだ。
耀く朝日を見た。
美しき朝日を。
「ここにいなさい。」
小さきわが子に言い聞かせて
狩りへと森へ向かった。
そして出会ったのだ。
狼狩りの男と。
長く睨み合い
そして、闘うのだ。
深紅の毛を朝日にきらめかせ、
狩人から我が息子を
守るために。
足が折れようとも肉を裂かれようとも、
その美しき体躯を大きく振りかざして闘うのだ。
美しき我が息子の為に。
彼の未来の為。
親は死んだ。
狩人との戦いで死力を尽くしたのだ。
「走れ小さき我が子よ。」
冷えゆく身体、
薄れゆく意識の中彼にそう叫んだ。
叫び続けたのだ。声が枯れるまで、
息絶えるまで
続く…