ぼくは妖怪、小雨おとこ。
お父さんは雨おとこで、おじいちゃんは大雨おとこ。
お父さんもおじいちゃんも、たくさん雨を降らせて人を困らせるのが、大好きなんだ。
でもぼくは、人を困らせるのが、実はあんまり好きじゃない。
こないだ小夜ちゃんていう、小さな女の子と友達になったんだ。
小夜ちゃんは幼稚園の七夕祭りをとっても楽しみにしてた。
でもぼくが遊びに行っちゃったせいで、外はしとしと小雨が降ってた。
「織姫様と彦星様、会えないね」
と、小夜ちゃんは悲しそうにしてたっけ。
ぼくは急いで短冊に『晴れますように!』って願い事を書いて帰ってきたけど、
あの後、ちゃんと晴れてくれたかなぁ?
おじいちゃんにそう言ったら、
「そんなことでどうする!わしら妖怪は、人を困らせるのが仕事じゃぞ」って叱られた。
お父さんに相談したら、
「あのな、コサメ。お父さんだって、いつもいつも人を困らせてばかりいるわけじゃないぞ?かんかん照りの後に雨を降らせてやったりしたら、そりゃあもう喜ばれるんだから」だって。
お父さんの話はいつもちょっとだけ難しい。
ぼくが喜ばれるようなときもあるってこと?
でもお父さん、こないだ小夜ちゃんが遠足に行った日も、やっぱり小雨が降ってたよ?
ぽつぽつとちょっとだけ降ってたから、みんないろんな色の合羽を着て、長靴はいて歩いてた。
ぼく、心配だったから、ずっとついて行ったんだ。
「晴れたらサイコーだったね」ってみんな言ってたよ?
あと、この前の運動会のときなんて、ぼくのせいで小夜ちゃんを泣かせちゃったんだ。
小夜ちゃんリレーの選手に選ばれたから、すっごく練習してたんだ。でも本番で滑って転んで、ビリになっちゃった。
ぼくやっぱり心配で、じっと見てたんだ。
小夜ちゃん泣きながら「ごめんなさい」ってみんなに謝ってた。
みんな『ドンマイ』って小夜ちゃんをなぐさめてた。
ねぇお父さん、ドンマイってどういう意味?
今日は小夜ちゃんの卒園式。
小夜ちゃんの晴れ姿を一目だけでも見たかったけど、せっかくの晴れ舞台を雨降りにしたくなかったから、ぼく我慢してたんだ。
家でゴロゴロしながら、お父さんにそう言ったんだ。そしたらお父さん、なんて言ったと思う?
「じゃあお父さん、小夜ちゃんの卒園式見に行っちゃおうかな。そうだ、おじいちゃんも誘って行こう」
「ダメだよ!そんなことしたら、雨ザーザー降りになっちゃうよ!お願い!やめて!」
「じゃあコサメが頑張って、お父さんたちの雨を、小雨に変えたら良いじゃないか」
「そんなのできっこないよ!だってお父さんたちのが大きいもん!」
「コサメ、いつも言ってるだろ?雨を降らせるのは、体の大きさじゃなくて、心の大きさだって」
幼稚園の空が、急に暗くなってきた。
お父さんとおじいちゃんがやってきたんだ。
上のほうから、大きな雨粒がじゃんじゃん落ちてくるのがわかる。
ぼくは目をつぶって、一生懸命祈った!
「小雨降れ!小雨降れ!雨、ちょっとだけ降れ~!」
雨はしっとりと霧のように小夜ちゃんの髪を濡らした。
小夜ちゃんはぼくを見つけると、嬉しそうに駆け寄ってきた。
「卒園、おめでとう」
「ありがとう!」
小夜ちゃんの笑顔は、とても晴れ晴れとしていた。
お父さんとおじいちゃんの背中を押して帰りながら、ぼくは幼稚園を振り返った。
もう雨は上がって、お日様がのぞいていた。
お母さんに手を引かれた小夜ちゃんが、綺麗な虹を指差して笑っているのが見えた。
一緒に虹を見れなかったのはちょっとだけ残念だったけど、小夜ちゃんの笑顔が見れたので、ぼくは満足だった。
「ドンマイ、コサメ」お父さんが、そうつぶやくのが聞こえた。
おしまい。
いかがでしたでしょうか?
今回は児童文学風です。
というか、以前何かの児童文学賞に応募したけど、
箸にも棒にも引っかからずに落選したものです(ToT)/~~~
何が原因だったか、考察していただけると助かります(*^_^*)
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