「認知行動療法」と「あるがまま戦法」の両立 | あがり症・パニック症・対人恐怖は「あるがまま」で克服できる!

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こんばんは~。


今日は、認知行動療法における認知再構成法(コラム法など)について書いていきます。


認知再構成法では、


【状況】不快な感情を伴う出来事

【気分】不安60%など

【自動思考】そのときに浮かんだ考えやイメージ

【根拠】自動思考を裏付ける事実

【反証(反論、別の考え)】自動思考と矛盾する事実

【適応的思考】自動思考に変わる柔軟で現実的な考え

【今の気分】不安30%、やる気30%など


という流れで、考えをまとめながらシートなどに記入していきますが、上記7つの項目を3つや5つに適宜減らして進めたりもします。


今日は、その中から【自動思考】→【反証】という流れに着目します。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


分かりやすくするために、例を挙げます。(【根拠】は飛ばします。)


【自動思考】手が震えて字が上手く書けないところを人に見られると、「この人、おかしいんじゃないか」と思われてしまう。


【反証】手が震えて字が上手く書けないところを見られたとしても、相手にとってはどうでもいいこと。


ここで、


(誤)「この人、おかしいんじゃないか」と思われてしまう。


(正)相手にとってはどうでもいいこと。


というように、間違いを正すという姿勢で取り組むと、私がいつも書いている


自分を受け入れ許し続けることこちら 参照/過去のブログ記事)


※そのときの気分で、あるがまま戦法と呼んだりもしています。ニコニコ


と両立しなくなります。


なぜなら、自動的に自分の心に浮かんだ、「この人、おかしいんじゃないか」と思われてしまうという思考を受け入れていないからです。


自分の心に浮かんだ思考を受け入れずに反証を挙げると、本当の気持ちを抑圧してしまいかねないと思います。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


では、どのような姿勢で取り組むと良いのでしょうか?


伊藤絵美先生の本に、ちょうどいい内容が載っていました。



『認知を「正す」「修正する」のではなく、認知の「幅を広げる」「柔軟性を高める」ことを目的とする』


(『認知療法・認知行動療法カウンセリング 初級ワークショップ CBTカウンセリング』伊藤絵美先生著(星和書店/2005/P113)表3-25.認知再構成法のポイントより引用)



認知を「正す」「修正する」のではなく、認知の「幅を広げる」「柔軟性を高める」


これですね。


これだと完全に”自分を受け入れ許し続けること”との矛盾が解消されます。


具体的には、


「この人、おかしいんじゃないか」と思われてしまうことを恐れていたんだね、と自分自身の自動思考を受け入れながら、


こっちの方が更に適切だよという感じで、相手にとってはどうでもいいことだよねという反証も受け入れていけばいいと思います。


(誤)(受け入れる)「この人、おかしいんじゃないか」と思われてしまう。


(正)(更に受け入れる)相手にとってはどうでもいいこと。


ということです。


この取り組み方には、カウンセラーと共に進める場合でも、クライエントが自分の思考を否定された感じを抱かずに済むといった利点があります。


それが、クライエントのやる気が高まっていくことにもつながるのではないかと思います。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


今日書いたことは、当たり前のことかもしれませんが、とても大切なポイントだと思いましたので、あえて書きました。


私としては、あくまでクライエントに寄り添いながら、受け入れながら、共感しながら進めていこうと思いました。



今日も、ありがとうございます!


皆さまに嬉しいことがたくさん起こりますように!



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