こんばんは~
今日は、水島広子先生の本、『正しく知る不安障害』を読んでいます。
本の中から引用しながら、「怒り」について書いていきたいと思います。
※不安障害に限定しない一般的な「怒り」についてです。
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私たちは怒るとき、何らかの理由があって怒りますよね。
例えば、重要な約束事を破られたり、嘘をつかれたり、嫌な目に合わされたり等々いろいろな理由がありますが、そこにはある共通した感情が存在していると、水島先生は本に書いておられます。
その感情は、「不安」です。
それについて書かれているところを引用します。
『ご自分のことを振り返ってもわかると思いますが、今までに、感情的に怒ってしまったときで、自分が全く困っていなかったときはないと思います。
何かで困って、「どうしよう」と不安になると、相手に怒りをぶつけてしまうのです。
これは、「八つ当たり」と呼ばれるものと同じ現象です。
自分の不安を不安として引き受けることは、案外勇気とエネルギーを要するものです。
自分の不安を引き受けて向き合うよりも、それを相手への怒りとしてぶつけてしまった方が楽だと感じる人は多いのです。
もちろんこれは意識してやることではありませんので、本人は不安を転嫁したなどとは思っておらず、「相手が悪い」と心から思っていることもあります。』
(『正しく知る不安障害』水島広子先生 著より引用)
確かに怒るときの理由から生じる感情を考えてみると、「不安」に辿り着きますよね。
シンプルな例を挙げますと、
”重要な約束事を破られる”(理由) → ”予定が狂う” → ”既に準備している他の予定にまで影響してしまう” → ”他の人達に迷惑をかけてしまう、金銭的にも損害を与えてしまう” → 「どうしよう」(不安) → 「なんて事をしてくれたんだ」(怒り)
というように、まず「不安」の感情が起こり、それによって相手に「怒り」をぶつけてしまうという流れがあります。
そして、この流れは普段意識していることではないので、自分が不安を感じていることに気付かないことも多いようです。
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次に、怒っている相手に対して、どのように対処すればいいかについて書いていきます。
相手の怒りの動機が不安にありますので、怒りに対して怒りで返してもどうにもなりません。
相手の不安が解消されていないので、どんどん怒りを増幅させてしまうだけです。
それでは、どうすればいいのでしょうか?
『どういうふうにすればまだ楽に接することができるのか、というと、相手の攻撃を攻撃として受け止めずに、本来の不安として受け止めてあげることです。
これは、相手のためというよりも、自分のためだと思ってください。
表面的には口汚く攻撃してきている人でも、本当のところはただ不安なだけなのだ、という目で見てみると、見え方が明らかに変わると思います。』
(『正しく知る不安障害』水島広子先生 著より引用)
”相手の攻撃を攻撃として受け止めずに、本来の不安として受け止めてあげる”
”本当のところはただ不安なだけなのだ、という目で見てみる”
確かにこういう受け止め方や見方ができれば、相手の怒りや攻撃に飲み込まれずに、冷静に対処できるような気がします。
特に、カウンセラーを目指す者としては、この受け止め方や見方をしっかり身に付けて、クライエントの怒りさえも症状の軽減に結び付ける材料にできるようになりたいと思います。
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次に、もっと具体的に対処方法を書いていきます。
いくら”相手は不安なだけ”ということが分かっていても、相手に対して
「何が怖いの? 何が不安なの?」とか
「本当は不安なだけなんだね」などとは言わない方がいいと思います。
その理由を引用します。
『だからと言って、「本当は不安なだけなのね」などと言ってしまうと、相手はよけい怒るだけでしょう。
もともと、不安に向き合うことが怖くて怒りに転嫁させているわけですから、それを突然直面させられたらパニックにすらなると思います。』
(『正しく知る不安障害』水島広子先生 著より引用)
相手を不安と直面させると、怒りが大幅に増幅しそうですね。
これは、お互いのためになりませんので、日常の場面では止めておきましょう。
それでは、どうすればいいのでしょうか?
『ですから、不安なだけなのだ、という見方ができたら、相手を安心させることを考えてみましょう。
「どうしてこんなことをしてくれたんだ!」と怒っている人であれば、「こんなことになって、どうなってしまうのか、不安だ」ということをいいたいわけですから、
「ごめんなさい、うまくいくようにやっておくから大丈夫よ」というような受け答えをしてあげれば落ち着いてくるでしょう。
相手が謝る気になるのは、それからです。』
(『正しく知る不安障害』水島広子先生 著より引用)
”相手の怒りに対しては、怒りで返したり、不安と直面させたりせずに、相手を安心させるような受け答えをする”
この方法を実践するかどうかで、自分の周りの人間関係が大きく変わってくると思います。
また、これを実践していくことで、人間としても大きく成長できるのではないかと思います。
今日は、怒っている相手への対処方法について書きましたが、もうひとつ書いておきたいことがあります。
それは、もし自分に非があるなら、まずそれに対して誠意を持った謝罪と対応を心がけてくださいということです。
※何でも自分のせいにするという意味ではありません。(こちら 参照/過去のブログ記事)
そして、カウンセラーを目指す者としては、ここでも、相手の話をしっかり聴いた上での受容と共感が大切だと思います。
ただのノウハウではなくて、心と心の交流だということです。
相手にどのように伝わるかが大切です。
今日も、ありがとうございます!
寒い日が続いていますね。皆さまの明日が、寒さを吹き飛ばすくらい心が温まるような一日となりますように!
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