子どもを苦しめる二重メッセージ (『人はなぜ心を病むか』で学ぶ①) | あがり症・パニック症・対人恐怖は「あるがまま」で克服できる!

あがり症・パニック症・対人恐怖は「あるがまま」で克服できる!

不安障害を自ら体験し薬を使わずに自力で克服した、精神医学を学び続けるカウンセラーのブログです。
あなたの不安障害(SAD、パニック症、手や頭の震え、吃音など)の克服を、効果的かつ優しくサポートいたします。【個人セッション、グループセラピー】愛知・岐阜・三重

こんばんは~。


今日の夜は、吉田脩二先生の本、『人はなぜ心を病むか』を読んでいます。


その中から、二重メッセージについて書かれているところを引用しながら書いていきます。


二重メッセージとは、言っていることと、心の中で思っていることや実際に行っていることが異なっている場合に、相手が同時に受け取る表と裏のメッセージのことです。


カウンセリング用語で言うと、話し手が”自己一致していない”あるいは”純粋でない”ときに聞き手が同時に受け取る表と裏のメッセージのことです。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


世の中には、二重メッセージがあふれています。


例えば、その中には、互いに言葉だけだと分かりながら交わす社交辞令があります。


(例)行くつもりが無いのに言う「今度遊びに行きますね」

   来て欲しくないのに言う「いつでも遊びに来てくださいね」


※これは極端な例ですが、もっと巧妙な二重メッセージは、誰にでも心当たりがあるのではないでしょうか。


これには会話をスムーズに運ばせるなどの効果はあるとは思いますが、個人的には”自分にも相手にもウソをついている”ことには違いないので、私は好きではありません。


友達間で冗談として交わす場合はいいと思うのですが、仕事などの重要な局面で交わすと大きな問題になりかねないと思います。


それに、いじめやパワハラなどの現場で、二重メッセージやダブルバインド(こちら 参照/Wikipedia)が使われて、相手を苦しめるといったケースもよくあることだと思いますが、これも苦しめられている人にとっては大問題です。


また、二重メッセージを言いたくないのに言ってしまう人も多くいるとは思いますが、その人たちにとっても大きな問題であることでしょう。


その原因となっている心の裏に抱えた問題を解消するためにも、カウンセラーなどの専門家に相談していただきたいところです。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その二重メッセージですが、子どもが日常的に受け取ると、苦しんで悪影響を受けるケースがとても多いのではないかと思います。


私も子ども時代に、二重メッセージを受け取っていたのでよく分かるのですが、大人が思っている以上に子どもは敏感にキャッチします。


そして、自分がどうすればいいのか分からなくなったり、親の言うことが理解できなくなったり、親を信じることができなくなったり、親に対して心を開くことができなくなったりということにつながります。


そこから非行に走るケースも多いのではないでしょうか。


ここで、本より二重メッセージの例を引用します。

(本記事は、2012/2/24に変更しました。)



『この手紙の中には書かれていませんが、このお父さんは校長先生でした。

しかも手紙の後半、この子がうすうす感じていたように、このお父さんには女性がいた。

小さな町だから、町の人たちはそれを知っていたし、母親も知っていた。

しかしこの父は、子どもに対しては一貫してきびしい”倫理道徳を説く父”だったのです。』


『いったいこの人がなぜこのようにあがき苦しみ、結局は、性格破綻とでもいうべき哀れな事態を迎えねばならなかったのか。

その要因を一言で片づけるなどということは、もちろんとても乱暴なことです。

しかし、この手紙から一つだけいえるのは、厳格に倫理道徳を説く父と、一方、その倫理を踏み破って平然と生きている父、この父の分裂した二つのメッセージによって混乱させられた子どもの、これはその悲劇といえるでしょう。』

(『人はなぜ心を病むか』吉田脩二先生 著より引用)



これに近いことは、よくありそうですよね。


大人がうまくとりつくろったつもりになっていることでも、子どもは敏感に裏のメッセージを受け取ってしまっていたのでしょう。


それでは、どうしたらいいのでしょうか?


二重メッセージを出さなければいいのです。


言葉と、心の中で思っていることや実際に行っていることを一致させればいいのです。


いきなり全てを完全に一致させるのは難しいとは思いますが、できることから始めていって、その過程で心に思ったことなども、子どもと話し合ったりして分かち合ってはいかがでしょうか。


これは、完璧な人間になれということではありません。


なるべくありのままの自分を子どもに見せるということです。



『しかし、これは簡単なことなのです。

そのまま生きていればいい。

お母さん自身がいきいきと、なまなましく生きていれば、それはごく自然に子どもに伝わっていきます。

自分の感情を偽わらず、ゆったりと生きていれば、子どもは自然に人間らしく育っていきます。』

(『人はなぜ心を病むか』吉田脩二先生 著より引用)



ただ、親が心の中に強い攻撃性や憎しみなどを隠し持っている場合は、それも子どもに伝わってしまいますので、その場合もカウンセラーなどの専門家に相談をしていただきたいところではあります。



今日も、ありがとうございます!


皆さまの明日が、笑顔たくさんの一日となりますように!



↓生々しい事例がたくさん載っている深く考えさせられる本です。

人はなぜ心を病むか―思春期外来の診察室から/吉田 脩二
¥1,470
Amazon.co.jp