2020年、神戸の信者の男性2人が和歌山県の海岸で入水自殺で死亡した。これには二人の女性が関わったとし、起訴されていた。
1人は「占い師」と呼ばれていた女である、もう1人はその信者の女である。
今年の10月に信者の女の方は大阪地裁で、自殺幇助罪で懲役2年、執行猶予4年(求刑・懲役2年)の判決が下っている。
もう1人の「占い師」の女は、自殺教唆罪で起訴され、一昨日(12月17日)から初公判が始まった。
自殺に他人が関わると、刑事罰が下される事ぐらいのことは、なんとなく知っていたが、この事件は2人の女がそれぞれ「殺人幇助」と「殺人教唆罪」という容疑で逮捕された。
これら二つの裁判は、自殺という結果に対するものである。殺人罪と同様に、その意味でこの刑法の意義はあるのだろうが、旧統一教会問題と同じように、事前にこういう被害を生み出す組織、個人を規制する法律はない。
オウム真理教による地下鉄サリン事件から30年以上経つが、空白の30年と云われるように、テレビでは細木数子や宜保愛子、江原啓之などの「霊能師」「占い師」によって、ゴールデンタイムが埋め尽くされた。放送される度に全国霊感商法対策弁護士連絡会から番組のへの要請や抗議がなされていた。
「マインドコントロール」は商業上、通販番組やチラシを始め暮らしの中で、「30分以内に・・・」「これが最後のチャンス・・・」等溢れている。しかし、霊的世界の作り話を信じて不安をかき立てられ、逃げれないように人の心を縛り付ける手法は、この商業上のマインドコントロールとは違う。専門家は「破壊的マインドコントロール」という。
これについては、日本では社会的な認知度は低い。
今回の二人の男性の入水自殺に関わった占い師の女の手法は、詳細は分からないが結果として、真に「破壊的マインドコントロール」を使った可能性が高い。
こういう人の心を綾って自死や旧統一教会のように金銭を奪うような団体、組織に対しては、反カルト法があれば、事前に防げたのではないだろうか。
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
参照
自殺関与・同意殺人罪 (wikipediaより)
自殺教唆罪
自殺の決意を抱かせて、人を自殺させた場合に自殺教唆罪となる。この決意は相手の自由な意思決定による必要があり、暴行や脅迫などでの強要による場合には、その決意は自由な意思決定とは言えず殺人となる。 また、幼児など意思能力がなく、自殺の意味を理解していない相手に方法を教えて自殺させた場合にも、その決意は自由な意思決定とは言えず殺人となる。
自殺幇助罪
自殺を決心している人に、自殺を容易にする援助を行うと自殺幇助罪となる。
同意殺人
被害者が自己の死に対して真摯な同意を与えている場合に、その人を殺害すると同意殺人となる。相手が真摯な同意を与えている必要があり、強要によるものや、冗談で言ったに過ぎない場合については真摯な同意とは言えず通常の殺人となる。
殺人罪よりも同意殺人の方が刑が軽い根拠は、被害者の同意がある事から、違法性の程度が低いため、殺人罪よりも刑が軽いと説明される。(違法性減少事由)
- 嘱託殺人罪:被害者の積極的な依頼を受けてその人を殺した場合に嘱託殺人罪となる。
- 承諾殺人罪(同意殺人罪):行為者が被害者に対し殺害の申し込みをしたところ、被害者がこれに同意・承諾した事を受けて殺害した場合に承諾殺人罪(同意殺人罪)となる。