本日は
若葉会動物病院さんの文章を引用させていただきます
当院御利用の飼い主様へ緊急のお知らせ
当院ブログの方が読みやすいです→
若葉会動物病院さんのblog
※拡散・シェアは自由ですがあくまで若葉会動物病院としての現在の方針です。
以下ブログと同内容↓
現在、日本各地でマダニを原因とするSFTS(重症熱性血小板減少症候群)という感染症による被害が拡大しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/512fc5050fee580c48722fb7fd497adb24d2dc61
先月には,SFTSの治療に当たった獣医師が発症から6日という短期間で亡くなられたという痛ましいニュースがありました。人から人への感染(おそらく飛沫感染)も確認されており、野良猫に餌をやっていた女性も感染後に亡くなられています。
知っていただきたいことをまとめておきますのでご一読いただけると幸いです。
➊マダニが寄生した時の対応
➋SFTSとマダニの習性を知る
➌マダニを寄生させない対策
➊マダニが飼育している動物に寄生していたら?
①ダニは引っ張って取ろうとしては絶対にいけません。動物にむやみに触らず、かまれたり引っかかれたりすることが無いように十分に注意してください。マダニは無数に寄生していることが多いためすべてを物理的に除去することは極めて困難です。病院でも内服薬やスポット剤での駆除を実施しています。
(2週間は排泄物や唾液にウイルスが含まれている可能性があるので手袋・ゴーグル・マスクを使用して世話をするようにしましょう)
②・ダニ予防をしていない方:体重を調べて動物病院へダニ駆除薬をもらいに行ってください。この時、動物は病院へ連れてこなくて大丈夫です。お薬だけの場合は、事前にご連絡いただければご予約は必要ありません。経口薬の方が駆虫までの時間は早い傾向が有ります(経口薬:約6‐8時間、スポット薬:約24時間)
・ダニ予防してる方は2日ほどでダニが死滅しますので、そのまま様子を見てください
③死亡したマダニが12時間以上取れない場合は専用器具で除去してください。体液の飛散があり得るため手袋・ゴーグル・マスクは必須です。専用器具は安価に購入できます。(スタッフへのリスクが高すぎるので、当院では物理的マダニ除去の依頼はお受けしていません)
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④動物の体調が変化しないか2週間は様子を見ます。体調不良があれば事前に動物病院へマダニが寄生していたことを伝えてからタオルケットで覆ったキャリーに入れて来院し、車で待機してください。到着後に電話で到着したことを伝えてください。
➋SFTSを知る
まずは、日本全体で見ても、岡山と広島での感染リスクが非常に高いことが分かっています。中国地方のイノシシ・シカなどの野生動物は50%の抗体保有率(地方別で第1位)であることから狩猟をする方や畑や山に野生動物が来る方は特に要注意です。当院周辺では、笹ケ瀬川沿いや妹尾、箕島、早島、山田などには、まだまだ緑が多いので野生動物も生息しておりリスクが高いと思われます。
・まずはSFTSの原因であるマダニの特性を理解して危険性の高いところには近づかないようにしてください。
マダニの生態
①動物の体温や体臭、呼気の二酸化炭素、振動などを頼りに葉の裏から足を引っかけて動物に乗り移る
②吸血に適した場所(眼、鼻、耳、指の間、肛門周囲などの皮膚が薄い場所)に移動して吸血
③7日は吸血を続ける→休眠→動物に寄生して吸血→休眠→動物に寄生して吸血
④地面で2000~3000個の卵を産む
⑤2-3週間でふ化
・マダニの好む場所
草むらの20-80cmほど高さの葉の裏
日陰で湿気った場所を好む
野生哺乳動物の生息場所で通り道
ダニ媒介動物:シカ、イノシシ、タヌキ、アライグマ、ハクビシン,イヌ、ネコ
SFTS感染ルート:マダニ(ノミの関与は不透明)の吸血、感染した野生動物、ネコ、イヌ、ヒトの体液、排泄物
潜伏期間:2-14日
治癒(遺伝子検査での陰転)後のウイルス排泄:約7日(個体差あり)
犬や猫の症状:発熱、元気消失、食欲低下、嘔吐、下痢、黄疸、白血球減少、血小板減少
致死率 犬:25% 猫:60-70% 人:30%
➌対策
・ノミ・ダニ予防薬は、予防しないよりは良いが非常に効果的とは言えない。(感染した猫の25%は1ヶ月以内にノミダニ予防薬を使用していたとの報告)
・基本的に猫は外に出さないこと
・犬は草むらや野生動物の多い茂みなどに入らないことが1番大切。忌避効果のある、ハーブスプレーやノミよけ首輪などもやらないよりは良いが全く安心は出来ない。
大事なこと
・猫は外に出さない(SFTSに感染した状態で家に帰ってくると、ご家族が大変危険です。特に高齢者は死亡率が高い傾向)
・犬も危険! 猫だけの病気ではありません 感染した動物に顔を舐められると高確率で感染します。
・散歩で山や茂みに入らせない、登山やキャンプに連れて行かない
・野生の猫をむやみに触らない(特に弱った猫)←ご自分とご家族の命を犠牲にするくらいの覚悟が必要です。
(保健所へ連絡して保護は公的機関に任せて下さい)
・ノミダニ予防、虫除け製品などできることはする
☆外飼い・山や茂みに入る動物・マダニがついている動物で体調が悪い場合は、病院に連れてくる前にお電話にて必ずご相談下さい。
順番が来たらお迎えに行きますので、お車でお待ちください。飼い主様ご家族にも大変危険がありますのでキャリーには薄手の捨てても良いバスタオルやタオルケットをかけて病院内への入室前に手指の消毒をお願いいたします。マダニ感染のリスクがあり、調子の悪い動物に触れる際には、噛まれたり引っ掻かれたりしないようにすることと、手袋、ゴーグル、マスクが必須です。
・最後に・
長々と読んでいただきありがとうございました。
我々は仕事上、毎日のように治療や検査を怖がってパニックになった猫や犬に噛まれたり、引っ掻かれたりしています。
噛まれたら30%の確率で亡くなってしまうというウイルス(コロナの死亡率は0.6%)を持った猫や犬の危険性を我々獣医療者も飼い主の皆様もしっかりと認識するべきです。私も、この仕事をしている以上家族には「いつ感染して帰らぬ人になるかわからないよ。」と話をしています。そのぐらい危険なウイルスが我々の身近に増えていることをどうか忘れないでください。
1日も早くSFTSへのワクチンが開発されて安心して動物が自然と触れ合える時代が戻ってくることを切に願います。
皆様も皆様とご家族(動物も含めて)のかけがえのない命を守るために、日常での注意や予防薬の投与などできることはすぐにはじめてください。また、獣医療者、来院されている動物、飼い主さまの安全の為にも来院される際の注意事項にもご理解いただけますと幸いです。
若葉会動物病院 院長 標葉 譲