2、学習障がいとその対応・・・その3

 前項の続きですが、もう1つのやり方は、LDであることを公表して、周囲に配慮してもらうことです。米国のトム・クルーズは、LDを有することで有名です。読字障がいを持っており、文字が読めません。本人もホームページを通じて、このことを公表してますし、LDを有する子供たちへの支援も行っています。このことを知らなければ、だれも彼が字を読めないとは思わないでしょう。彼自身、子供の頃、このことで苦しんできたと告白しています。しかし、自分がLDであることを受け入れて、すべて公表しているので、今の彼の仕事や生活が可能になっています。誰も彼に字を読むことを求めないでしょう。仕事の台本も録音など文字を読まなくていい方法で伝えているでしょうし、友人たちも、彼と一緒にいるときは、彼が文字を読めないことを配慮して付き合っているはずです。

 LDは、知的にも人間関係においても、全く問題はありません。ただ、文字が読めなかったり、数の概念が分からなかったりするだけです。トム・クルーズと同じように、自分自身がLDであることを周囲に伝え、家族や職場、友人がそれに合わせて配慮してくれれば、普通と同じように生活をしていくことができます。
 ただ、LDであることを周囲に伝えるのは、とても勇気がいります。馬鹿にされるのではないか、差別されるのではないか、職場を解雇されるのではないかなど様々な不安を抱えます。実際そうなる可能性もあります。ですから、まずは社会を啓蒙します。周囲の人に理解してもらうことが重要です。
 LDのみならず、発達障がいという名称は知られてきていますが、個々の障害の内容について、さらには、発達障がいを有することによりどれだけ苦しんでいるかということは、まだ知られていません。具体的な内容についても啓蒙が進み、発達障がいを有している人が、私は発達障がいを有しているので支援してくださいと遠慮なく言える社会になっていけばいいと思います。

次回は注意欠陥多動性障がいについて更新します。