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図書の本が明日までだったので、今日、行き帰りの電車で読み切りました。

やっぱりすごく読みやすい。
共感できたり、今まで自分が感じていたけど、なかなか上手く表現できなかったことを、とても的を得たかたちで現されているなって。


こう書くとかたいけど、心にそのまましみる言葉がたくさんあった。



緊張がのぼりつめた頃に眠気がやって来ると、ようやく解放されるように意識を失う。
そして夢に堕ちる。

夢の中なら、凍り付いた手足にも血が通い、どこまでも自由に流されていける。


電車から降りて、ホームから街のほうを見渡すと、大きな明かりがいくつも浮かび上がっていた。
夕暮れが消えかかった青い闇に溶けて、すべてが曖昧に、優しく見えた。


その間に扉が次々と開いて、観客たちが我慢していたものを解放するように大声で喋りながら出てきた。



自転車にまたがった地元の人も、だらだらと歩きながら海岸のほうへ向かう子たちも、みんな、横断歩道で信号が赤に変わりかけても走らない。

ゆっくりと立ち止まり、その場でぼんやりと空を見上げる人もいた。

空は広く、雲が流れている。
じっとりと熱かった二の腕の内側を潮風がすり抜けていく。



あのとき、関口が発した言葉。
棘よりも鋭く、刃物よりも柔らかく、痛みではなく、まったくべつの価値観が食い込んできた苦しさの、その名はおそらく、混乱、だった。



夏が終わるのは、秋や冬が終わるのとは全然違う。
すごく面白かった本を読み終えてしまったような、クラスメイトとすごく仲が良かったのにクラス替えを迎えてしまったような、そういう特別な時間の終わりに似ていた。