一年以上も前に買っていた本を、やっと読み切りました。
二冊目がこの前出たんだけ。
買ってすぐに、途中まで読んで、奥の方に封印されていたのを、せっかくなので、引っ張り出して読みました。
芸能界を描いているから、やっぱり多少は自分とリンクする部分もあったんだろうなって思いました。
あまりこういうところを舞台にした話って読んだことがなかったから、純粋に楽しかった。
シゲさんは、やっぱりすごいですね。
☆
上手く感情の区分けができず、義憤なのか疎外感なのか喪失感なのか、それらがクリーム状に混ざってしまったような気分で、僕は立ち尽くしたまま動けなかった。
石川からすれば今までくっついていた二つの磁石が突然同極を向けて反発してしまった程度に思えたのだろう。
反対向きに戻せば元通りになると。
しかし実際は違う。
僕らの磁石の間に強力で分厚い磁石が挟まったのだ。
僕らはそれに引きつけられているが、阻まれてもいる。
離れることも向きを変えることもできず、僕らはそこにいるしかないのだ。
一枚向こうにいる彼をもう二度と確かめることはできない。
世界はときどき一時停止をしてくれる。
でも芸能界は違う。
再生か、停止か、それしかない。
速すぎる急流に逆らうカヌーのように、手を休めれば谷底に落ちてしまう。
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