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『リレキショ』、『夏休み』に続く3部作の完結編、らしいです。

全然知らなかったですが、両方とも、読んだ後でよかったです。




道はゆるやかにカーブしていた。
景色としての教授が小さくあった。
くっきりと濃い朝が辺りを満たしていた。
遠ざかっていく景色を、僕は後ろから見守った。

薄く柔らかで捉えどころのない起動音が、聞こえた気がした。



マミとマナミは椅子四個分、離れて座った。
マミの右半身とマナミの左半身に、ちょっとした緊張感が感じられ、中間地点には目に見えない壁のようなものがあった。
二人とも半分しか宿題をやっていなかった。



のぞきこまれたマナミの心拍数が上昇していく。
自分たちなりの事情が、教室長の追い込みに呑み込まれ、侵食されていった。
二人の小さなからだの中で、強大なプレッシャーと僅かに残る自我とが、ぎりぎりのせめぎ合いを続けていた。



駅前ビルの三階の空間では、熱っぽい話し声があちこちで湧き上がっていた。
それぞれの声は決して交わらず、干渉もせず、薄いもやがかかったような空気の中、単なる音として生まれては消えていった。



ー派遣社員というものは、当たり前のように正社員より優秀な人材でなければなりません。
と、派遣元の会社の教育係は言った。

ー悪い言い方をするなら、正社員の半分は企業にとって不良債権のようなものです。

その正社員と良好な関係を保ちつつ、しかし当たり前のように彼らより成果を上げなければなりません。

商品としての派遣社員はそこまでいって初めて、買った人をある程度満足させるんです。
顧客満足は当たり前。
我々は顧客感動を目指そうではないですか。