長いことかけて読んでた本。
ゆーっくり時間かけて読みました。
伊坂さんの作品。
今までいくつか読んでたミステリーではない、青春群像劇。
すごくはらはらするっていう展開ではないけど、でも、なんだか、言い回しとか、すごく好き。
読みながら、好きな言葉とか言い回しを折ってたので、それをいつものごとく、抜粋して残しておきます。
目の前で、子どもが泣いてるとしますよね。
銃で誰かに撃たれそうだとしますよね。
その時に、正義とは何だろう、とか考えてどうするんですか?
助けちゃえばいいんですよ。
毎日毎日、わたしたちって必死に生きてるけどさ、どうしたら正しいかなんて分からないでしょ。
何をやったら、幸せになれるかなんて、誰もわからない。そうでしょ。
変な話、砂漠にぽんっと放り出されて、『あとは自由に!』って言われたようなものじゃない。
そう、どうやって生きればいいか、なんて誰も教えてくれない。
お好きなように、と指示されるのって、逆につらいと思うんだよね。
みんな、正解を知りたいんだよ。
正解じゃなくても、せめて、ヒントを欲しがってる。
・・・これだけやれば問題ないですよ、っていう指標に頼りたくなる。
でも、人生全般にはそういうものってないでしょ。
チェックポイントとか、何か条とかはない。
自由演技でしょ。
どんなに苦しくても、忍耐が必要でも、これをすれば幸福になれる、っていう道しるべがあれば、やっぱり、楽だし。
だってさ、わたしたちって子どもの頃から、やることを決められてるわけじゃない。
生後何ヶ月健診とか、六歳で小学校へ、とか、受験とか、考えなくても指示を出されるわけでしょ。
不良少年が卒業式を迎える段取りだって、あると思う。
それがある時、急に、自由にどうぞ、って言われて愕然としちゃう。
昼間の公園には、子供たちが何人かいて、砂場で遊んでいた。
そのうちの一人は、シェパードに恐る恐る近づき、笑う準備と泣く準備の二段構え、と言わんばかりに顔をひくひくさせていた。
思い出は作るものじゃなくて、勝手に、なるものなんだよ。
いつの間にか気づいたら思い出になってる、そういうものだよ。
学生時代を思い出して、懐かしがるのは構わないが、あの時は良かったな、オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対に考えるな。
そういう人生を送るなよ。
四月、働き始めた僕たちは、「社会」と呼ばれる砂漠の厳しい環境に、予想以上の苦労を強いられる。
その土地はからからに乾いており、愚痴や嫌味、諦観や嘆息でまみれ、僕たちはそこで必死にもがき、乗り切り、そして、そのうちその場所に馴染んでいくに違いない。