現代は忙しい時代です。
大人たちも君たち子どもたちも、いつも時に追われています。
遅れてはいけない、急がなくては、町で周りを見渡せば、そんな人々の姿がいくらでも飛び込んできます。
そして、ただあわただしく動き回る中で、何か大切なものをこころから失い、そして本当なら接し感じることができたであろう、多くの美しさを失っています。
哀しいことです。

私が小学校3年の時でした。
仲間2人と朝、学校に向かう途中、たんぼにたくさんのドジョウがいるのを見つけました。
もう学校のことも忘れ、3人でドジョウ捕りです。
気づいたときには、すでに太陽は高く上がっていました。
3人で、叱られるだろうなぁと震えながら教室に。
あの時の先生のことば最高でした。
「どうした。ドジョウはいっぱい捕れたか。見てた人から知らせがあった。」
私たちが、小さな声で「ごめんなさい」というと、
「いいんだよ。お前たちは、今日はいい理科の勉強をしてきた。よしこれから別の勉強だ。」

時には、立ち止まろう。
遅刻してもいい、遅れてもいい、立ち止まろう。
そして、周りに美しいものや優しいことがないか、ちょっと見てみよう。
きっと、たくさんの美しさ、優しさがあります。
そしたら、そばに行って、触れよう。
こころ、きっと温かくなります。
そしたら、また歩き始めよう。
人生は長い。
走らなくていいんです。
時々立ち止まる勇気を持とう。


―明日を求めて・・・こどもたちへ 夜回り先生 090119中日朝刊