先生に今、伝えておきたい。
それは先生と、出会えて良かった。
先生ありがとう。
私、人に傷つけられたけど、やっぱり、人は一人じゃ生きていけない。
人によって生かされているんだ。
現に先生を頼ってくる子どもたち。
先生は、神様じゃない。
人じゃん。
きっと、子どもたちは、人によって傷ついただろうに。
不思議だね。

先生、私は『なんで』という言葉をやめました。
『なんで』は、過去に引き戻す言葉。
なんで私だけ、こうなるのとばかり言っても、悲しいだけ。
生きている間、悲しいことや、苦しいことあるけれど、すべて無駄なことなんてないと思う。
すべて自分にとって必要で、ちゃんと意味があるんだよね。
私は、そう信じてる。

去年初めて行った魚屋さんで、さこはセルフサービスで、買い方が分からないでモジモジしてる私に、見知らぬおばちゃんが声をかけてくれて、買い方を教えてくれたんだ。
魚まで、こっちのがでかくていいよって。
おせっかいだと思う人もいるかもしれないけど、ものすごくうれしくて。
ありがとうと言いました。
今でも、その出来事は、忘れられません。
思いだすと、笑顔になれるから。

その数週間後、私が、花に水をあげていると、トラックから部品を会社に届けなくちゃいけないんだけど、道が分からないと言われて、私はその会社知っていたから、教えてあげたんだけど、口で伝えるのは難しくって、結局近くまで一緒に行ってあげたんだ。
そしたらすごい喜んでくれて「時間に間に合った。ありがとう」と言われて、ものすごくうれしくて。

この気持ちって、先生が言っていた、人のために何かすることかって。
人のために何かするって、もっと大きいことかなって思ってた。
けど、大きい小さいなんて、関係ないんだ。
先生ありがとう。
それから自分なりに勉強は続けてるよ。
いろいろなことも分かったし、出会いもあった。

人生には、遅いなんてないんだね。
先生、私も精いっぱい今を生きる。
今って時間は今しかないし、今の中に探すと、幸せはたくさんあるよ。
先生私、ゆっくりだけど、頑張るぞ。
先生も、明日の一秒のために生きて。
先生の痛みが、つらさが、少しでも和らいで、講演や夜回りができるように祈りながら。

―明日を求めて…こどもたちへ 水谷 修
(中日新聞 081103付)