真夜中に、のどの渇きを覚える。
冷蔵庫にも飲み物がない。
そんな時、どうするか。
表に出て自販機へ走る、という人も少なくないだろう。
なにしろ、わが国は1km四方に14台も自販機がある自販機大国だ。
普及台数は550万台前後で、20年ほど前からほぼ同じ。
日本自動販売機工業界にによれば、こういうこと。
「置けるところにはほぼ置きつくした」
たとえば自動ドアも、欧米諸国とは比ぶべくもない普及ぶりだ。
時に「手動ドア」の表示があるほど。
電気を使ったさまざまな機械は人の生活を快適、便利にしているが、日本は恐らく、それを世界で最も享受している国の1つだろう。
それは、ちょっとわがままな暮らしぶりとも言えるのかもしれない。
かなり以前、自販機の話しになった時、日本在住のあるフランス人女性が冒頭の問いにこう答えたのを思い出す。
「我慢すればいいのよ」
七夕の夜、ふだんはライトアップされている東京タワーや名古屋城など全国各地の名所をはじめ過去最多の約7万5千施設で2時間、明かりを消すライトダウンが実施される。
政府は家庭や職場にも消灯を呼び掛けている。
明かりを消せば不便も生じようが、夜の暗さを楽しむのも悪くはない。
快適さ、便利さを手放すのは難しくとも、できるところはちょっと我慢してみる。
そんな暮らしへのきっかけになればいい。
【080705 中日新聞朝刊 “中日春秋”】
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これ見て考えたこと。
自分たちの生きている世界の便利さをあらためて身を持って感じた。
記事の中にもあったケド、“夜の暗さを楽しむ”のも悪くないと、本気で思う。
小学校の時、全校みんなで校庭にテントを張って、夜を過ごした。
あの、暗くなっていく中で、校庭を照らすちょっとの外灯の中で、みんなで食べて喋って眠ったこと。
だんだん暗くなっていく空を見て、心から自然にわき出る寂しさを感じるのが、なんとも好きでした。
その当時は深く感じなかったことも、今あらためて思い返してみると、あの暗さこそ、人が本来生き、過ごしていく中で体が経験しなくてはならないトキなのかなって思う。
洞爺湖サミットで、エコをテーマに、各国首相や大統領が集っていたけれど、人は、昔から送ってきた、ごく当たり前の生活を送っていくことで、本来の心・気持ちを取り戻していけるのだと感じました。