神々様の童話作家 あいかわゆき

神々様の童話作家 あいかわゆき

縄文時代の指導者であられた日本の神々様の物語★
神々様の愛を伝えながら、本当の日本を取り戻すお手伝いが
できればと願っています。

もうすぐたくさんのお花が咲いて、ソサノヲさまが生まれた季節がやってくる。そんなときに訪れたイサナミさまとのお別れ。

 

「お母さまがいなくなってしまったのに、なんで、お日さまは、いつもとおんなじように昇ってくるのかな。なんにもなかったみたいに、また、お花も咲くのかな」

 

ソサノヲさまは、家族にとってのお日さまが、永遠に姿をかくしてしまったのに、まるで、なにごともなかったように、季節が進んでいくことが、不思議でたまりませんでした。それで、ワカ姫さまに、この思いを打ち明けました。

 

「お姉さま、どうしてなのでしょう。ぼく、なんだか、よくわからなくて」

 

「ええ。ソサノヲのその気持ち、お姉さまにも、よくわかりますよ。わたくしたちが、そのように感じるのは、おそらく、お母さまが亡くなられてから、わたくしたちの時間が止まってしまったからなのだと思いますよ」

 

「ぼくたちの時間が止まっている?」

 

「そうです。わたくしたちは、まだ、お母さまの死を完全には受け止められず、同じところにとどまっているのです」

 

「同じところに・・・・・・」

 

「ええ。だから、お日さまがいつも通り昇ったり、これまで通りに暮らしている人たちを見ると、おかしな気持ちになるのですね」

 

「ああ・・・・・・」

 

ソサノヲさまは、さびしそうにうつむきました。

 

「だから、わたくしたちが、お母さまの死をちゃんと受けいれて、前をむいて生きられるようになれば、そんな気持ちは消えていくことでしょう。お母さまに喜んでいただくためにも、しっかり生きてゆきましょうね」

 

ワカ姫さまは、ソサノヲさまの手を取り、やさしく頭をなでられました。