色々な検査を終えて、娘は病室に戻っていました。

娘の側には、私の母が付いていてくれました。

医師からの説明が後わり、私も病室に戻ります。

説明を受けた時は涙がたくさん出ましたが、娘の前では涙は見せないと決めていました。

麻酔が切れて、ややボーッとした面持ちでしたが、「◯◯ちゃん(娘は家族の前での一人称は“自分の名前＋ちゃん”です)、どうだったの？」と聞いてきました。

私

「◯◯ちゃん、おとといすっごく背中が痛くなったよね。あの場所で病気が悪さをしてるんだって。

　それと闘うために、今日から点滴でお薬を体に入れるよ。ママもずっと側にいるし、先生や看護師さんも何かあったらすぐに対応してくれるから、なんでも言うんだよ。」

娘は深く考えておらず、「へ〜、そうなんだ。」位の返事をしました。

今体が動かないのは一時的なもので、治療したら元の体に戻れるものだと思っているのです。

私は当時8歳の小さな女の子に、数ヶ月後どうなっているか分からない未来の話をすることはできませんでした。

『ママは自分には絶対に嘘をつかない。』

そう信じている娘に、逃げるような曖昧なこたえしか言えない自分がとても嫌でした。

でも私には正直に全てを話すことができませんでした。

この頃の娘はただただ明るく、気楽に考えていました。

学校は休まないといけないけど、あまりできない体験ができている。

入院というイレギュラーな状況を、少し楽しんでいるようにも見えました。

「ママもずっと一緒だし、

　病院のベッドも気持ちいいし、

　結構いい生活だね」

なんて言っていました。

入院2日目、ステロイドの治療が開始されました。

点滴をし、心電図・パルスオキシメーターを付けた姿は、私にとってはとても悲しく辛い姿でした。

娘自身は、入院直後は以前と変わらない娘でした。

しかし数日後、娘は人が変わったようになります。

続きます。

【脊髄梗塞との闘い⑥】ステロイド大量療法の開始