昨日（2019/5/4）のNHKスペシャルで、札幌医大で行われた脊髄損傷（以降、脊損）患者への 3 年に及ぶ再生医療の治験の結果が報告された。

治験を受けた患者は 13名。

うち 12名は重症度が 1 段階以上回復した。

残りの 1 名も、呼吸機能の回復が見られた。

問題となる副作用は誰にも現れなかった。

この結果を受けて、2019年 5月から健康保険が適用されることになった。

幹細胞の培養はニプロが行う。

培養できる幹細胞の数に限りがあるので、年間に行える治療は 100名まで。

ちなみに、脊損患者発生数は年間約 5,000名もいるそうだ。

当面は、札幌医大でのみ患者を受け入れる。

また、対象は受傷後 30日以内の重症患者のみ。

将来的には、慢性期の脊損患者、脳梗塞、認知症患者の治療にも適用を広げていきたいとのこと。共通するのは神経細胞の再生。

番組内でクローズアップした患者が 2 名いるのだが、うち 1 名は、首から下はピクリとも動かせなかったのが、幹細胞を投与した翌日には、手をグーに握ったり、肘を上側に曲げて持ち上げ、後頭部を触ることができるくらいの驚異の回復を見せた。

翌日の昼には起き上がって座位の姿勢になり、夕方には自力で車いすをこげるようになった。

1 週間後には支えがあれば自力で歩けるまでに回復。医者も驚いていた。

治療方法は、患者の腰の骨から骨髄液を抽出し、その中に約 0.01% 含まれる間葉系幹細胞を取り出す。それを約 2 週間かけて培養し、点滴で体内に戻すという自家培養方式。

ちなみに、現在行われている軟骨再生治療は、いずれも間葉系幹細胞を使っている。なので、間葉系幹細胞による治療結果が良好なのは嬉しい。

また、脊損に関しては、慶應大学病院が iPS 細胞による再生治療の臨床研究を行っている。

iPS は自家培養ではなく他家培養なので、もっと多数の患者に対応できると思われる。

感動の再生医療