父とともに、画家の皆さんの「歳末助け合い色紙頒布会」に行ったことがありました。その頃は、画家の皆さんの制作しているところを見せてくれる場面もありました。
 ちょうどその時に制作しておられたのが原田敬造さんでした。ちょうどこの絵、「雪の林」の制作中でした。手際よく進めておられる中、突然スポンジを取り出して絵の具を付け、ポンポンポンと木の幹を描いていきました。スポンジの色を変えながら生き生きとした林を描いていました。私はすっかり感心して、驚いて見ていました。父に頼んで、この絵を買ってもらったのでした。

 原田敬造氏について「常住座臥」さんの次のようなブログがありました。
「山形の画家、原田敬造さんが亡くなって25年が経つ。知り合いで画家は少なく、親しくしてもらった人は、唯一原田さんであった。南一番町のアパートを借りて、制作に打ち込みむ傍ら、若い画学生の指導にもあたっていた。わが家の長女も絵を描くのが好きであったので、ここへ通って、デッサンの基本を教わっていた。亡くなられた年に、奥さんが生前に描いた絵を一冊の画集にされた。その時買ったものが、いまも書棚にある。
 画集を開いてみると、ふるさとの自然や静物がテーマに選ばれたものが多い。中で目をひくのが、猫を描いた絵だ。題名に『安全地帯』と記されている。原田さんは、生前猫を可愛がっていたらしい。路上で車の被害にあった猫を見るのがいたたまれないらしく、画題の脇に「飛び出し注意と言ったって猫には通じない。なるべく道路には出ないように、安全地帯で生きて欲しい。」と画家の言葉が添えられている。外出の時は欠かさないベレー帽、太ぶち眼鏡が、いかにも画家のイメージをかもし出す優しい人柄であった。」

 原田敬造氏の人柄がよく伝わり、その人柄とともにやわらかな温かい作品を描かれる訳が分かったように思いました。