僕『親方が謝ることではありません』
この時から会社に不信感を抱き始めていた事を
覚えている。
その日はやけ酒のように酒を飲み次の日からの仕事をこなした。
出張が無事終わり地元に戻ってきた。
その出張は約1ヶ月半休みがなかったので
4〜5日ほど休みを頂いた。
特にすることもない休日。
引っ越しの準備を1日かけ行い、残りの時間をどう過ごそうか考えていた。
"そうだ、実家に行こう"
母親とは仲が良かったのだが、父親とは
会うたび喧嘩をしている。
あまり仲は良くない。
実家に帰り会社を辞めたこと、夜のBARの
仕事を始めた事を伝えると
父親から
『そんな仕事やめろ。辞めなければ勘当だ。』
僕は何を言っているのか分からなかった。
僕『そんな仕事?』
父『ちゃんとした仕事をしなさい。』
僕『ちゃんとした仕事ってなんだよ。この世に なくていい仕事なんて一つもないだろ。』
父『出て行け』
僕『2度と帰ってこない』
こうして父との関係は最悪に。
父と僕の兄は自衛官だ。
確かに立派な仕事かもしれないが僕は自分の言った事を間違いだとは思わなかった。
そんなことがあったと会社の事務所に行き
専務と社長に伝えた。
"見返せ"
ここから僕はこの夜の仕事で上り詰める事を
決心したのだった。
出張明けの連休が終わり店舗に戻った。
お客様が自分のことを覚えているかどうか不安だったが、帰ってきたとの話が回りたくさん来店してくれた。嬉しかった。
そして会社員(バーテンダー)として本格的に
生活が始まった。
"運命の出会い"
僕はこんな言葉信じてはいなかった。
だが今となれば間違いなくあれは運命の出会い
だったと確信している。
バーテンダーの仕事を始めて数ヶ月が経ったある日、若い夫婦が来店された。
その夫婦は店長と同い年らしい。
僕の1つ下だ。
2人は可愛い顔立ちをしていて子供がいるらしい。
旦那の方は鳶職人を言っていると言う。
出張で足場を組んだ経験もあり少しは仕事の話ができた。
そしてその旦那がふと。
『夜の仕事をしてみたい』
僕は嬉しかった。
もしかしたらこんなに早く後輩が出来るのかと。
その旦那のことを会社に報告し、週3回くらいのアルバイトとして扱うこととなった。
そして店長と僕、アルバイトの3人体制で店を
任された。
アルバイトの子はびっくりするくらい仕事が出来た。
僕の初日とは全く比べ物にならない。
"天才だ"
直感でそう思った。
アルバイトの子は昼の仕事を辞めて、本格的に夜職一本になった。
その頃には僕もある程度仕事を覚え出し、
その地域ではある程度店員として多店舗や
お客様から認知されるようになっていた。
バーテンダーとして働き約7ヶ月後僕に嬉しい
出来事が起きた。
"彼女が出来た"
その頃仕事もうまく行きとても楽しい生活を
送っていた。
仕事も慣れてきた時目の前に壁が現れた。
"オーナーコンプレックス"
これは何かというと、遅い時間店を閉め、
多店舗のオーナーが来店される時に起こる物だ。
毎回僕はとても緊張して何を喋っていいかわからないという、夜の仕事を始めた初日の事を思い出し怖くなったのだ。
"このままじゃダメだ"
そう思った僕は店長に対し
『どんなオーナーさん、年上、怖い人だろうが
店長ではなく僕を着かせてくれ。』
店長はそれを了承し僕はコンプレックスを無くす動きをした。
約3ヶ月後
店長のおかげで僕はコンプレックスを感じなくなっていた。
むしろ、オーナーさんや大人達の方が話しやすくなっていた。
とにかく"経験"を積んだのだ。
そうして勤続約一年半が経った頃僕とアルバイトの子は実力が認められ正社員となった。
その頃には店長が地元の店舗の店長になっていた。
僕とアルバイトの子はというと。
アルバイトの子は地元と言うこともあり店長へ
僕は全店舗を任される幹部補佐という地位に立っていた。
初めて社会人として努力を認められた気がした。
そして店を点々とし忙しい日々を送って、
各店舗の売り上げまで管理していた。
その頃ふと思ったのだ。
『こんなに売り上げがあるのに僕の給料少なす
ぎではないか?』
『自分で独立して店舗を出した方がいいのでは ないか?』
"甘い"
今の僕なら当時の僕にそう言うだろう。
当時の僕は仕事が慣れてき過ぎていて、酒を飲んで調子悪い時など良く揉めたりするようになっていた。その事を次の日反省しているのにもかかわらずまた酒が入ると同じことをしていた。
立場がわかっていないのだ。
独立の話や自分自身変わりたいと言うことを元鳶職人の店長に相談した。
『やろう!』
僕たち2人は一応会社の主軸だ。
まだこの話はあっためておいて他言無用ということで話がまとまった。
出勤して店長と2人でこの話をするのがとても
楽しかった。
ただ壁がひとつある。
金銭面だ。
店を出すにはBARで200万円〜1000万円が
必要と言われている。
借金を抱えている僕に到底そんな大金など持ち合わせて居なかった。
夢物語を語りながら勤続2年が経った頃、
良くお店を利用してくれる人と独立の話を
していた。
そのお客様は鳶職人として全国に名を轟かせているような人だった。
会社役員として仕事をしているらしい。
その日は僕たちの夢は…と2時間程度語っていた。
数日後
オープンしてすぐそのお客様が来店された。
『いらっしゃいませ。今日は随分早いですね』
と、挨拶すると
『大事な話があって来た』
何かな?と疑問を持ち接客をしていると
ついに口を開いた。
客『お前達の夢を一緒に叶えたい』
僕、店長『え?』
客『出資をする。』
僕、店長『まじですか!?!?』
part3はここで終わります。
よければコメントよろしくお願いします🤲
では次回お会いしましょう♪