こういう、誰も傷付かない映画が好きだ。
舞台はフランス。神経質な両親に育てられ、金魚鉢の中の金魚のように、いつもガラス越しに何かを経験してきた彼女。
大人になったアメリは、バラバラになった証明写真を繋ぎ合わせるという変わった趣味の男を好きになる。
でも、彼女はまだ金魚鉢の中。そんな鉢の中から、変わった手法のあの手この手で彼とコンタクトをとり、最終的には自ら金魚鉢から飛び出して、彼と愛し合う。
(要約力が皆無で全く申し訳ないが、)
話の内容、出来よりも、映画を構成する絵面や人物像を重視しているような。
こいつの生活をもっと知りたい、こいつが何をするか知りたい、物語が持つ面白さよりも、主人公の愛らしさによって物語に引き付けられるような。
こういう映画を見た後は、自分の生活も映画に切り取られているかのように一つ一つの行動を丁寧にしてしまう。
キッチンでの動作一つをとっても、にんじんの茹で方、お塩の入れ方、戸棚の食器の出し方、全部を丁寧にしたくなる。
ジブリを見ている時も同じような感覚になる。
私は特にアリエッティが好きだが、おままごとをしていた時の記憶が蘇るように、小人がする全ての行動に釘付けになる。
ものすごく言語化が難しいが、
「日常生活を慈しむ」
そんな感じがする。
人物像に関しても、物語の一部としてのアメリではなく、アメリの一部としての物語を好きになる。
やっぱり私は人間が好きなんだと思う。
人間がこの世で一番嫌いで、この世で一番好きだ。
こうやって、人間に傷付けられ、人間に救われるのだ。