父が鎮痛剤を投与されていたシリンジポンプは電気で動きます。
普段はACアダプターでコンセントにつながっていますが、トイレに行ったり、治療や検査のために移動する時には、ACアダプターを引っこ抜きます。
その間は、内蔵されたバッテリーで動くわけです。

このバッテリーがどのくらい動くものなのか気になりました。
それは、父が退院できるのかどうか……が気になったからです。
例えば30分以上持つのなら、車に乗せて退院して、自宅でコンセントにつないで使用できます。
でも、看護師さんや先生に聞くとシリンジポンプを使用している間は、退院は難しそうでした。
腕の皮下に点滴針が刺さったままだからかもしれません。

父は口には出しませんでしたが、早く退院して家に帰りたがっていたのでしょう。
そんな父に、カリウムを下げる点滴、それに鎮痛剤のシリンジを指差して、これが外れるくらいになるまで、ちょっと退院難しいね。でも、お正月は家で過ごしたいね……と言いました。

退院するためには、パッチと飲み薬で痛みがコントロールできなければなりません。
12月に入るころ、父は病院のご飯を食べられなくなってきました。
先生の話では、オピオイド系の鎮痛剤の副作用で嘔吐しやすいのかもしれないとのこと。
でも、父は自分の死期が近づいていると思ったようです。
胃がんで亡くなった祖母と同じように、食えなくなって死ぬんだと言っていました。

年末に近くなると父はどんどん痩せてしまって、今にも死にそうな見た目になりました。
すると、点滴を腕から首に移されて、高カロリーのブドウ糖を使うことになりました。
看護師さんに聞くと、点滴の栄養で十分に生きていけるとのことでした。