世界に1つの個人塾に! ~学習塾経営のマル秘成功戦略~

世界に1つの個人塾に! ~学習塾経営のマル秘成功戦略~

少子化により学習塾業界は淘汰の時代を迎えました。今後生き残るのは大手塾と、地域に根づいた個人塾です。企業化した塾にはできない経営とアイディアで、学習塾経営を成功させるためのノウハウや戦略を紹介します。世界に1つしかない個人塾を目指しませんか?

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 学習塾も1つのビジネスモデルです。

 教育ですから、あまりに利益追求や営業活動にこだわるのは関心しません。むしろそういう塾は、一刻も早く撤退してほしいですからね(笑)

 しかし、「経営」としての視点で見ると、ビジネスモデルの長所や短所も知っておくと有利です。各教科の特性を知っているほうが学力が上がりやすいのと同じですね。

 少なくとも、これから独立起業や開業する人には、知っておいて損は無い内容だと思います。

 それでは、学習塾のビジネスモデルにおける、5つの特殊性について簡単に見ていきましょう。


(1)サービスの利用者と、料金の支払者が異なる

 これは他のビジネスモデル、他の業種と決定的に違う点ですね。

 他のビジネスでも、父親と母親で決定権者が違う場合にはそれなりの対策が必要です。それがさらに生徒も加わるのですから、余計にややこしいです。

 そのため、生徒と同時に保護者に対しても配慮する「バランス感覚」が不可欠です。

 いくら指導力に自信があっても、学力はなかなか目に見えて上がりません。塾内での生徒の様子や頑張りも、なかなか保護者には伝わりません。生徒が満足していても、保護者都合で辞めることはいくらでも起こります。(その逆も)

 講師として雇われている間は、教室長やシステム面などの見えないところで保護者向けの対応をしてくれているため、生徒だけを向いてしまってもそれほど問題になりません。しかし、それと同じ感覚のまま経営者や責任者になってしまうと、保護者から不評を買って失敗することも起こります。

 ただし逆に、一方への不満がサービス停止(退塾)への決定打にならないというメリットもあります。例えば、保護者から理不尽なクレームをつきつけられても、生徒から圧倒的に信頼を得られていれば、そちらを通すことですんなり解決することもあります。

 こういったバランスを踏まえたシステムの設計や、日々の適切な対応が大切になってきます。



(2)現金商売で資金ショートがほぼ無い(財務が特殊)

 これは経営上、とても大きなメリットですね。塾経営者からすれば当然のことのようですが、他の業種からすると非常に羨ましいことです(笑) 違う業種に安易に手を出す塾経営者が多いのも、現金商売だからこそできることですね。

 ただし、この特殊性ゆえに「無駄なコストに対して無頓着」になりがちなのも事実です。そのため、調子に乗って事業を展開しておきながら、ちょっとトラブルしたトラブルで資金繰りやその他の問題が発生して、すぐに教室をたたんでしまう例も多いです。預かった生徒たちへの責任を放棄するその姿勢は、本当に情けないものがあります。

 また、経営者としての資質が低く、塾以外はできない(または、やっても確実に失敗する)であろう、偏った経営者が多いのもそうした理由が潜んでいます。



(3)会員制で原価もかからず、収益安定性が極めて高い

 これも経営上、とても大きなメリットです。普通のビジネスではいかにこういった状態まで持っていくか知恵を絞らないといけません。それを何の苦労もなく成立してしまうあたり、とても有利なビジネスモデルと言えます。

 ただし、その安定性ゆえに経営力が育たないのは、上と同じデメリットです。一時隆盛を誇っても、衰退を始めると歯止めが全くきかなくなる塾がほとんどなのも、このあたりが影響しています。安定しているからこそ、安定が崩れかけたときに立て直すのに工夫と多大なエネルギーが必要ですから、日頃から安定性を欠かないような心がけも必要です。



(4)商品選択のための情報が極めて少なく、入会するまで中身が分からない

 「塾は指導力が命だ」と考える先生は多いですが、残念ながら利用者視点では違います。利用者からすれば、選択のための情報がほとんど手に入らないのが現実です。

 多くの保護者は「合格率ではなく合格実績を見る」わけですが、私達からすれば「合格実績などは、受験者が多ければいくらでも増える」のは当たり前ですよね。また、「塾の名前やブランドで決める」保護者も多いですが、私達からすれば「たとえチェーンでも、校舎によって質は全然違う」のも当たり前です。

 こういったあたりを見れば、利用者がいかに「イメージ」で決めているかが分かります。

 塾の営業力の本質は「イメージを売る」ことですから、指導力や指導実績はもちろん、評判、口コミ、広告の印象、校舎や塾生の雰囲気など、総合的な視点でアプローチすることが大切です。

 個人塾でいろいろ手を広げるのは難しいのですが、いかに効率よく絞って手を広げられるかを考えてみてください。



(5)最初から「先生」と呼ばれ、基本的には何もしなくても利用者が頭を下げてくれる

 学習塾は士業などと同じく、最初から先生と呼ばれるかなり特殊な業種です。

 お客さんからいきなり先生と呼ばれるのは、サービス業としては極めて不健全ですよね?(笑) そして実際にカン違いする先生が非常に多いのが現実です。特に新人などはそうで、これが傲慢さ、ひいては業界全体の顧客サービスの悪さにつながっています。

 実のところ、自分のことを賢いと思っている教師はかなり多いです。確かに「勉強」については賢いのですが、例えばビジネスについては全くの素人ですよね。ビジネスだけで無く、その他あらゆる分野での最先端の動向には限りなく疎いのが現実です。

 特に中学や高校を教える先生は、どうしても専門教科に知識や興味が偏ります。そのこと自体は専門性を高めるために必要なのですが、塾経営という視点で言うとこれは不利です。

 だからと言って、個人塾の塾長が授業を外れて経営に執心するのもどうかと思います。それでは大手の企業化した塾と変わりませんからね(苦笑)

 ですから、少し離れた立場の人間の知恵や発想を、必要に応じて上手に活用するのが賢い判断だと思います。

 実際、成功している塾経営者は、他業界のことも含めて非常に熱心に勉強しています。逆に、塾関係者のブログや教育関係の書籍ばかり見ている人は失敗しがちです。

 もちろん教育者として、もっともっと教育を極めていってほしいと思います。ですから、経営に関する部分は上手に他の情報や専門家などを利用していってほしいとも思います。全てを極められる人間はいませんし、そうする必要も無いのですから。



 以上だけでも、学習塾のビジネスモデルが極めて特殊なものだとお分かりいただけると思います。これらも踏まえながら、順番に成功戦略(戦術、ToDoなど)を紹介していければ良いと思っています。