当館プログラムもついに1040回。
かなり現在に近い作品まで紹介して、懐かしい感じも薄れて来た。
で、突然ではありますが、設備もガタがきたので、全館メンテナンスするため、このあたりで一時休館としたいと思う。
あと10回で、1050回まで。残り10回は総集編特別プログラムとしてお送りしたい。
なので、新たな作品を紹介するのは今回が最後。
記念すべき第1回で取り上げた「未知との遭遇」のスピルバーグ監督による宇宙人SF「宇宙戦争」、そして、最も繰り返し再上映して来た「スター・ウォーズ」サーガ最終編「シスの復讐」。
最後の2本立として、これほどふさわしいカップリングはないはず。
かつて、1977年に「未知との遭遇」と「スター・ウォーズ」が相次いで公開され、中学生の私は映画の世界へ引き込まれた。
28年後の2005年、同じ監督同士によるSF超大作が、偶然にも夏の映画館で激突。同世代映画ファンは、感慨深いものを覚えながら、大いに興奮した。
「スター・ウォーズ」新三部作は、旧三部作で悪役だったダースベイダーの誕生秘話。
観る者は、あの純朴な少年が、才能あふれる青年が、なぜ悪の権化に落ちて行ったかに、全ての興味を注ぐことに。
「エピソード2 クローンの攻撃」では、許されない恋がその布石となることを、女性を描くのが下手なルーカスのつたない演出で描かれた。
そして迎えた「エピソード3 シスの復讐」。いよいよ我々はダースベイダー誕生の瞬間を目撃する。いかなる無惨で絶望的な結末が待っているのか。
冒頭から「悪くなってやるゾ」モードを漂わすアナキン。案外コロッとダークサイドに落ちちゃう。その間の複雑な感情の揺れ動きは、かなり描写不足と思える。
しかし、クライマックスの炎の中の戦いは映画史に残るだろうし、変わって行くアナキンにアミダラが言う「アナキン、私、胸が張り裂けそう!」には、こちらまでブロークンハーツして泣けた。
最後にダースベイダーが立ち上がった瞬間は、鳥肌が立つ思いだったし、ラストで映るタトウィーン星のルーク養父の姿に、第1作へ見事に繋がった感慨を覚え、目が潤んだ。
壮大なサーガを完成させたルーカスに拍手。ありがとう、ルーカス!
スピルバーグにとって、初めての侵略宇宙人を描く作品「宇宙戦争」。
トム・クルーズ主演というのが異和感ありありだが、スピル師匠の娯楽映画手腕は衰えていない。こんなに怖い宇宙人映画は他にない。船で逃げようとする群衆に、山から宇宙船が現れてクラクションを鳴らすシーンの恐ろしさ!
ラストがあっけなくて期待外れだとか、賛否はあろうが、一市民トムの逃げる姿だけを追った構成は大成功だ。スピルバーグは、「未知との遭遇」や「ジュラシック・パーク」でも、特定の主人公たちの行動を追っている。「インデペンデンス・デイ」のようにマスを描くと“戦争ごっこ”“侵略ゲーム”に見えるだけだと知っているのだ。
H.G.ウェルズの原作を何で今さら、と最初は思ったが、最新の映像技術で楽しませてもらった。やっぱりスピルバーグはSFだ!
これを観るまでは死ねない!と思っていた「スター・ウォーズ」完結編も終わった。
CG氾濫により、あれほど好きだったSF映画も辟易するようになった。歳をとったということなのか。
これからの半生は、また違った映画の観方をするのかも知れない。取りあえず、一つの区切りが2005年であったのは間違いない。