90代のSさんは、長年通ってくださっている常連のお客様です。
コロナ禍をきっかけに外出が難しくなり、しばらくお顔を見ることができていませんでした。
そんなSさんが2年ぶりに娘さんと一緒に、車椅子でご来店くださったのは2ヶ月ほど前のこと。
椅子に座られたSさんは、ぽつりと言いました。
「最後の散髪かもしれん」その言葉が、ずっと心に残っていました。
昨日、お店のドアが開きました。シルバーカーをゆっくりと押しながら、一人で。
Sさんでした。
散髪を終えたSさんは、後から電話をもらった娘さんにこう話していたとのこと。
「やっぱり散髪は気持ちが良いし、顔そりも自分でやるのとは全然違う」
散髪がしたい。
ただそれだけの気持ちで、90代のSさんは一人で外に出かけました。その「したい」という気持ちが、足を動かす力になるんだと、改めて教えてもらった気がします。
無事にご帰宅されたと聞いて、胸をなでおろしました。
Sさん、またいつでも待っています。
娘さんにご心配をかけないように、次はご一緒にご来店くださいね。

