「弱さと優しさ」 エピソード68











泉町 AM12時。




「色々話聞いてくれてありがとう」








「本当…しげには気をつけなよ…」







「うん…」







私は姉の家を後にする。







姉の言葉が頭から離れない







「………。」







祖母が亡くなる前に言っていた事








(私が死んだら、しげにこの家乗っ取られる…嫌だ…嫌だ…っておばあちゃん…)



「………。」







祖母がそこまでしげの事で苦しんで亡くなったとは…







「………。」







今、しげは毎日家に来ている。







しかも私が匿っているせいで…







「………。」







しげは私と初めて会った日、異常なほど威圧的な態度で私を追い払った。






まるで家主の様に…


もし、あの様な態度を取り続けたら私はしげを受け入れなかっただろう。






「………。」








しかし、しげは態度を一変させる。








(おじいちゃん思いの優しい孫。チョロいってね…)







「……(´-ω-`)」
↑チョロい孫?



私があの家で美容室を開く。








祖父の側にずっといると知ったしげが








私を味方につけようとしていたら…







「………。」































「闇夜の始まり」 エピソード69



戸口 8時。







翌朝、祖母の遺影の前で手を合せる。







「………。」







おばあちゃん…ごめん。







ごめんね…死んでからもおばあちゃん苦しめて…







「………。」



当時、私は障害者や老人ホームの美容ボランティアをしていた。






しげが「高齢者」というだけでどこか強く当たれなかった…。






「………。」







人の優しさを逆手に取ったしげは







「私より一枚も二枚も上手…という事か」







遺影の祖母はどこか悲しい顔をしていた。






「……ふぅ…」







おばあちゃん…決めた。








シゲをこの家には絶対に入れない。







「安心してね…おばあちゃん」








この時、遺影の祖母が険しい表情で








私に何かを訴えているとは…


気がついていなかった。








「よし!作業するか!」








この家を闇に包む








魂を失った人間という化物…との








本当の戦いが始まる。



























「決意」 エピソード70




戸口8時。







「梅ちゃん、これ食べて」







(あ!(`Д´ )…来た!)








しげをこの家には絶対に入れない。決めたものの…







「しげちゃん、いつも悪りーな」







祖父の喜ぶ顔を見ると







「………(´-ω-`)」
↑気が引けて何も言えない。



でも…







(おじいちゃん思いの優しい孫)







(チョロいってね…)







(チョロい…てね チョロい…て)







「………(´-ω-`)」
↑姉の言葉が頭をよぎる







やっぱりだめこのままじゃ…




(よし!(`Д´ )🔥🔥)







思い切ってしげに声をかける







「あの、ちょっといいですか?」








「何だい?」








シゲを奥の部屋に連れていく


「申し訳ないんですが、祖母があなたと祖父の関係に苦しんでいたと聞いて…」







「………。」







「特にあなたが家に入る事、嫌がってたみたいなんです」






「………。」








「外で祖父に会う事は私な何も言いません…。でも家で会うのは遠慮して頂けませんか?」






「………。」







数秒の沈黙の後







「そうかい…」







そう言うと、そっぽを向いて帰って行った。



「はぁ〜良かったぁ…また前みたいにキレられるかと思った( ´Д`)💨」






仏壇の前に行きそっと手を合わせる。







「ふぅ……。」






おばあちゃん…もう大丈夫だよ







しげは来ないから…ね







私がこの家、守るから…













第二十四章に続く