「将棋界には羽生以前、羽生以後といっていいくらいの大きな変革がもたらされた。将棋界の勢力図が一変したばかりではではない、それまでの棋士たちの価値観は瓦解し、将棋への考え方からライフスタイルに至るまで、羽生を旗頭とする天才集団に席巻されていったといっていいかもしれない。」(2001.6 大崎善生) |
それまでの将棋界においては、将棋は人間の総合力を集結した、ゲームというよりも道に近いもの、という考えが主流だった。 |
羽生は竜王になった(1989.12)直後、「将棋は完全なボードゲームである」という発言を繰り返した。 |
それは盤外戦の完全否定であった。 |
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羽生が七冠に挑んでいたころ(1995.夏)、「打ち歩詰めがなければ、将棋は先手が有利」 の一言が 将棋界では大きな話題となった。 |
”打ち歩詰め”は、王を持ち駒の歩ごときで殺すのは失礼に当たる、という日本人的な精神から作られたルールではないかと解釈されてきた。 |
しかし、羽生は、それが将棋の結論にかかわるルールだ、と示唆したのだ。 |
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羽生が四段になって間もない頃(1985.12)の発言で 「将棋の終盤の寄せのパターンは260通り(正確には、何百かのパターン)に分類される」 というのがある。 |
この発言を聞いた棋士は深く考え込み、右往左往せざるを得なかった。もし羽生だけが、自分たちが知らない将棋の真理を知っているのだとすれば、プロとして致命傷になりかねないからだ。 |
ほとんど天文学的な数ほどあるだろうと思われていた終盤のパターンを数え上げることができると発想すること自体が衝撃的だった。 |
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そんな羽生世代にあって、羽生さんの前に永世名人を獲得した森内さんは、 |
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「羽生さんに引き上げてもらいましたね。・・・途中から将棋界全体の牽引者になった。・・・彼は技術の囲い込みをしなかった。・・・そうやって、自分で強い棋士を沢山作ってきた・・・。」(森内九段) |
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と、 森内さんに言わしめた羽生さんも、谷川さんに対しては、 |
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「天才と思う棋士は誰か」と質問されると、わたしは谷川浩司さんの名前を挙げます。これは谷川さんが、ある場面から最後まで読み切る力がとにかく突出しているからです。 |
谷川九段の登場によって、「こんな早いところからでも最後まで読み切れるんだ」という発想を他のプロが持てるようになったのです。将棋界全体に与えた影響はとても大きい。本人だけではなく周囲のプロのレベルもぐっと押し上げました。(2007.5 羽生) |
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素晴らしきかな 羽生善治!! |
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<もくじ> |
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はじめに |
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羽生善治Data |
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勝つための6つのプロセス(インタビュー) |
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原点の頃(エッセイ) |
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羽生善治の思考力 |
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羽生善治の勝負力 |
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羽生善治の発想力 |
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羽生善治の人間力 |
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羽生善治の持続力 |
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「考える力」と「捉える力」(対談) |
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