経済というのは、お金の流れのことです。つまり、お金自体も流れる性質を持っているのです。そして、流れるという現象には、必ず、エントロピーという状態量が関係しています。
とりあえず、ここでは、お金の流れに関するエントロピーは、経済学という学問に関するエントロピーとして、経済学的エントロピーとしておきましょう。
お金の流れという経済は、経済活動を行えば、成長していきます。つまり、経済には、成長性があると言えますが、その成長性とは、可逆的な成長性です。
可逆的な成長性とは、プラスの成長であったり、マイナスの成長にもなり得る成長性のことです。そのため、経済自体にも、可逆性があるために、波が存在するということになります。
それは、なぜなら、流れるものには、必ず、波打つ性質があるためです。
波というものは、つまりは、波動を意味しますが、経済上における波とは、景気の良し悪しという言葉で表現されることが多いと思います。
景気が良い時は「好況」、景気が悪い時は「不況」と呼ばれていますよね?
そして、その景気の波が起こるのには、エントロピーと、経済物理的な摩擦が関係しているのです。
つまり、エントロピーという状態量と摩擦(この場合の摩擦とは、物理的な摩擦現象のこと)によって、波を打ちながら流れていく性質を経済は持っているということになります。
ここで、もう少しだけ、経済学的エントロピーについて述べてみたいと思います。
私の考案する経済学的エントロピーは、以下の式で表されます。
⊿ecoS = ⊿WM / G [ J / G ]
ここで、⊿ecoS は、経済学的エントロピー変化を表し、WM は、お金のする仕事を表しており、そして G はお金の絶対的価値 G(ゴールド)を表します。なお、⊿は微分記号です。
次に、お金のする仕事とは、どのようなものがあるか考えてみます。
例えば、お金は、金利によって増えていきますよね?
つまり、お金のする仕事(WM)とは、お金が金利によって増えることと、ここでは考えましょう。
しかし、金利がマイナスの場合は、お金のする仕事がマイナスになります。つまり、元のお金自体が減っていってしまうことになります。
このような、元のお金自体が減少するということを、この場では、経済摩擦と考えることにしましょう。つまり、経済力学的な、経済摩擦とは、お金の価値が下がることや、お金自体が減っていってしまうことと定義します。
そして、ここで、金利の話が出たので、金利についても述べていきたいと思います。
金利とは、お金が増える速度を決定する値です。
つまり、お金もある速度をもって増えていくのです。
速度を持っているということは、運動エネルギーを持っているということでもあります。
運動エネルギーを表す式は、K=1/2mv2 (m:質量、v:速度=m(メートル)/s(秒))ですよね?
そして、お金が増える速度が、早くなったり、遅くなったりする場合について考えてみたいと思います。
つまり、金利が上昇する場合と、金利が減少する場合について考えます。
例えば、最初の状態が金利2パーセントでお金が増えていたが、ある時、金利が上昇して、4パーセントに上がった場合と、1パーセントに下がった場合のお金のする仕事量の変化について考えてみたいと思います。
それを式で表すと次のように表すことができます。
1/2mv2-1/2(mv0)↑2=WM
この式に、それぞれの値を代入して考てみれば、仕事量の変化がわかります。
では、代入して、実際に計算してみましょう。
●金利が二倍に上昇した場合:
WM=8-2=6[J]
●金利が二分の一に下がった場合:
WM=0.5-2 =-1.5 [J]
この計算結果を、エントロピーの定義式にも代入して考えてみたいと思います。
●金利が二倍に上昇した場合のエントロピー変化
:⊿ecoS=6/G[J/G]
●金利が二分の一に下がった場合のエントロピー変化
: ⊿ecoS=-1.5/G[J/G]
このように表せます。
この計算結果が、一体何を意味するのかを考えてみましょう。
金利が二分の一に下がった場合では、経済学的エントロピーがマイナスの値になっていることを考えると、お金のエネルギー損失が考えられると同時に、その経済状態の底辺への吸引力が働くことを意味しています。
そして、お金のエネルギー損失があるということは、お金自体が減ること、つまり、経済摩擦(お金の価値の減少)が起きていることが考えられます。
また、経済学的エントロピーがマイナスの場合、景気の波を考えた場合には、経済状態の底辺への吸引力が働くために、どんどん景気が悪化していく傾向があるのです。
そのようなことを考えると、ゼロ金利やマイナス金利状態では、お金自体の持つエントロピーを有効には使えないことになるため、経済の活性化を図りたいのであれば、経済学的エントロピーをプラスの状態にもっていく必要があるということになるのです。