20才 ハタチ *1 | 明日出逢うアナタの為に私がした12045の事

20才 ハタチ *1

20才の私。
専門学校に進んだ。高校教師の勧めだった。学校は美術系。
特に行きたかった訳でも無くまた、行きたく無い理由も見当たらなかったせいだ。せっかくの勧めだった事と、バブルの全盛。
大学・短大を出て就職難にあたるのもイヤだったし、手に職を付けて何かやろうと漠然とした考えがあったのかも知れない。

性格柄、実に計画性を持った判断では無かっただろう。1つだけ言えるのは、当時フリーターになる事には偏見と計画性の無い人種だと威張って言っていた事ぐらいだろうか?
自分の計画性の無さや勢いだけの判断は棚上げしていた。何に強がっていたのか、そんな程度だろう。
子供の頃は、違っていたのに。自分自身に降り掛かったあんな出来事があったせいで、あの頃は慎重な性格をしていたんだけれど・・・。

人間は、忘れたり・慣れたりするのが上手い生き物だと思っている。
いつまでも、考えていると頭の中の回路がショートしてしまうのを防ぐ為なんじゃないのかな?今の私はその反対側に立っていた。
否、そうしない様に無理をする私が共存していたのかも知れない。

進学・就職・計画・無理。
波の様に押し寄せるそんな出来事を考えながら、
過ごしたハタチのバースディ。私の記念日の夜のアイツ・・・。
名前すら、もう忘れてしまっている。
「何だか元気がないなぁ、また元彼の事なのか?」
「ここ来るのって2回目なんだよねぇ・・・」
バカな私は、アイツに何を言ってたんだろう。
そんな、言葉も聞かずに私の胸を舐めていたアイツ。

黒シーツの中で、愛の無い愛撫をするアイツにかなり冷めながら過ごし、ラブホの黒シーツの中で交わしたそんな無神経な言葉だけは今でも記憶に残っている。私はアイツを無視する様にして、頭越しに手を伸ばしアイツのタバコを一本取り出した。火も付けずにくわえた初めてのタバコは、私の渇いた唇の中で少しだけ湿った。