その日の朝。
「おはようございます」
始めて明神君から挨拶した。
「明神君から挨拶してくれて嬉しいよ」
と伝えたところ
だからそのマニュアルって何よ。
しかも買ったということは売ってる。見てみたいものです。
その放課後のこと(とはいえ、日の向きが同じなような気が)、廊下で屈んでいるくせ毛の男を発見。声をかけると、急に立ち上がって腰をやる辺り愛嬌がある。
あり得ないとは思っていたものの
『運命は偶然の重なり合いに過ぎない』タイプの人でした。頭が悪いの根拠はというと
まあ確かに。更に畳みかける現実主義
名言
『わけのわからない落書きに人生の一部を決められてしまうなんて、なんと不愉快なんでしょう』
by明神堅梧
私は占いを信じないので、
「絵が描いてあるだけの紙に何が判る」
「手相なんて手の皺」
というタイプで、この意見は真っ向からの否定はしないが、もう少しその「わけのわからない落書き」を探している目の前の人に配慮しようよ・・・
伝説を真っ向否定する男が捜しているのは、本物の鍵でした。
「一緒に探すよ、(テーピングのお礼返し)」
「いや、あれはあれでもう結構です」
「目が4つある方が早いよ」
「君に手間をかけさせる必要性はありません」
と押し問答していたものの、折れたのは明神君。
↑合理主義者の定番のセリフ。
~数時間後~
ご覧の通り、文字通り日が暮れている。少なくとも今日は「暇な学生」になっている天才。
誰か届けたのかな?に対し
捜している側からしたら「だとしたらありがたいね」が建前で、それこそ本音になるが、せめて口に出すのは建前にしましょう。
「今何時くらいかなあ・・・」
「携帯で確認して・・・・」
その時、明神堅梧は人生17年で1,2の青っ恥に気がついた。
ポケットの中に鍵が!!!
とくとご覧ください、天才が失敗した時の顔を!!!!
吊り上がった眉が下がり、顔と目が下向き、唇を巻き込む後悔・軽い悲しみの表情、表現がさすがにスバラシイ!
それは予想外、と驚く。
17の割に人間出来ている。
しかし、厄介事(だと思っている)に巻き込んだ身としては悔しい。さんざん句点を使った挙句、絞り出すように言葉に出来た。
「自宅」という言い方が真面目。
恩には恩を、その恩には恩を、そのまた恩には恩を、という間柄でこの数日間いた、責任感ある2人。
やっと母さんに心を開いてくれたのね…堅梧・・・
「じゃあカバン取って来るね!」と一旦解散。生徒と教師の殴り合いはあるのに、窃盗は起きないという学校・・・その道中
ニコニコ美術男子、廣瀬君。「そこにいんの」って、そんなに暗くなっちゃった?
明るい笑顔。どうやら美術部の先輩を探している。見かけた、というと、「案内してくれ!」と芸術系にしては外向的な廣瀬君。
彼が3章のボスです。