Kohei Okutani's Blog. "The World is Mine."

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日本人シンガーソングライター。
日本でも海外でも活動してます。

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夏が終わる。

八月が終われば永遠のように感じた肌を焼くような暑さも朝晩から少しずつ和らぎ、
日が徐々に短くなっている事に気づきながら、
ひとつの季節の移ろいが五感から鮮明に伝わってくる。

奥谷洸平です。


そしてもうひとつ個人的に夏の終わりと共にひとつの節目を感じるのが、
本日九月七日に毎年訪れる誕生日である。

もう誕生日をまだかまだかと待ちわびていた日々も遥か遠く、
今ではすっかり早く感じるようになった一年に対する焦りと、
「歳をとりたくないな」という世間一般の、
また遥か昔より人々が共有したそのちっぽけな悩みで少し心に影が落ちる。


かつて蝋燭を立てたケーキと共に食卓を囲み、
祝ってくれたその家族も時の流れと共に1人また1人と減ってゆき、
僕自身一人の暮らしにすっかり慣れて、
誕生日も特別な日ではなくなりつつある。



とはいうものの、
九月に入ると体力的な辛さも大分やわらぐので、
例年歳を一つ取るあたりから冬にかけて、
最もクリエイティブに、
またアクティブになれる時期が来るのだ。


2019年9月からのこの1年を振り返ると、
またこの歳も色々とあったなぁと感慨深くなる。

同年代の多くがそうであるように、
子育てをしているならまだしも、
自分の事だけでこんなにイベントに溢れている人生も、
また良いのかもしれないと感じる。

しかしながら
失い、耐え忍ぶ一年になったということは間違いない。

それは別に件のウイルスのせいと言うわけではない。

それとは全く関係ないところでも、
僕はこの歳まで生きて、
一番多くのものを失った年になったなと思う。

少なくとも僕の中で、
「笑う」「泣く」という事の意味合いが変化するほどには、色々な感情を経験した歳になった。


自分に抱えられるものは多くないんだな、と近頃思う。


誰よりも期待に応えたいという思いはあると自負しているが、
容量が欠けているのだろう、
時には全て投げ出したくなる時もある。


選択の連続で人生は続き、
振り返れば道になっているものだが、
その一歩を踏み出し続ける事の重みを、
今更ではあるがひしひしと感じている。



一秒一秒が大事だと言われたところで、
常にそれを意識できるほど達観した人間でもないし、
雑音を無視して自分だけの世界で生き続けられるほど、
肝の座った人間でもなかった。

さらには何かを失うまで、
その重みをしっかりと感じることすらも出来ないのだな、
と思う。


感覚を研ぎ澄まし、
花鳥風月を友とすべき芸術家の端くれを名乗って、
また志している身としては呆れるしかない愚鈍さである。

また情けない事に、
己の凡人ぶりはもはや誰よりも深く理解している。



生前に評価される事を諦めてしまった訳ではないが、
死してから価値を見出される作品を作りたいと思って久しく、
ただだだ書き続けている。

だがきっとこの人生をかけても、
天才と呼ばれる人種が1分で作り出す極地には及ぶまい。



それでもまた歩み、自分の時を進めるしかない。


それは僕に限らず、
全ての人に当てはまる事であるはずだ。



そうしていれば、
また気づけば多くのものを得ている。

道中失うものは大きくても、
またこの身には望む望まずに関わらず様々な事が与えられる。


この一年、
これまでで最も色々な場所に足を運んで、
音楽と向き合い、
昔なら考えられないほど沢山の仲間が出来た。


創作は孤独だといつも思っているが、
その一歩外ではこんなにも支えられている。


この世に生を受け、育てられ、
そしてこんなにいい歳になりつつある今も周りの力によって僕は生かされている。


それは単純に励まされたり助けられたりという話ではなく、
自分という存在に対して認知を、
そして評価をくだしてもらうおかげで集団の中の個である事が出来、
どのような形であれ自分として在ることが出来ると考えている。

同時に自分だけでは乗り越えられない事も他人の力で乗り越えてこられた。


であればまた僕もそんな人たちを支えていければなと思う。
その形は作品によってか、
それ以外のところでかは分からないが。


誕生日にあたって文章をしたためるためにあれやこれやと色々考えて行き着いた結果が、
「感謝」である事に我ながらまだ救いがあるなと安堵する。


ならばまたこの歳も必死にやるだけだ。


そうして行き着いた先に作り上げるものがすこしでも僕自身が、
そして世界が満足出来るものであるように。




2020年9月7日
奥谷洸平