俺じゃない | 大場浩平

大場浩平

ブログの説明を入力します。






一人ごとみたいなもんです。

長文になります。

以前と似たような文章ばっかりです。





俺は今



一人で、野外ボクシング塾をやってる。





7年前、一度目の引退後の



一年半後



ボクシング復帰したいけどできないもどかしさ、寂しさからくる苦痛を紛らわす為に始めた薬師寺ジムのボクシングトレーナー。



ジムには直ぐに打ち解けた。教え子達とも仲は良かった。



基本的にプロ選手を担当するよう支持を受けていた為、選手を強化させることを考え抜いた。



強くなっていく選手を見るのは好きだった。



命懸けでリングに上がろうとする選手達の気持ちが手に取るようにわかり、毎日必死で一緒に闘ってきた。





でも俺は



どんどん体力が衰えていく



反応が鈍っていく



余分な贅肉がついていく



普通のオッサンやって数年間経っても


選手を指導する立場になっても



自分が復帰したい気持ちが隅から離れなかった。


トレーナー時代の帰り道、いつもシャドーを繰り返した。



最初やり残した程度の気持ちだった小さな自分への蟠りは膨んでいく一方だった。



「今しかできない」



「今やりたいのに」



気づけばまた三年経ってた。



遅かったかもしれないけど、更に一年掛けてカムバックのタイミングを見計らった。



意を決して家族に無理矢理、理解を得た。その一年後



一年間限定で六年ぶりにプロのリングで選手として上がれたあの二試合



はっきりと「今の俺」を



自分自身にしっかり証明できた。





「はいはい自己満足お疲れさん」

「弱くなった姿なんて誰も見たくなかった」

「僕が君の義父なら復帰なんて許さなかった」

「最後の試合負けてたのでは?」

「俺はお前の為にやめとけと言ったんだ」



知人から批判も中傷もされた。



でも俺には





「カムバックして良かった」と





心の底から思えた。





妻の理解と後押しがあったから余計そう思えた。



「ちゃんと終われて良かった、パパらしい試合だった」



妻はそう言ってくれた。



「またやりたくなるんじゃないの?(笑)」



長女のその一言は、どこか今後の家族への激励に感じた。



次女はもしかしたらなにかの節目、と感じ取ったのかもしれない。



多分



次女は俺がボクサーだったことを今後も忘れないと思う。





とっくに終わった選手



よく言われたけど、そうじゃなくて、二度目の引退式で選手として終わることができた。



衰えようが自己満足だろうが全部ひっくるめて



それが



自分自身だ。





今の俺は



全然寂しくないけど



今後も寂しくないだろう。



やり残しをしっかりと消すことができて、もうできない理由も多いから。











寂しいから始めたボクシング塾じゃなくて、始めたいと思って始めたボクシング塾。





何度も通ってくれてる小学生の塾生さんに心も技術も成長する為の、新しい「刺激」が必要だと思った。


 
俺が巡り巡って選手として最後に所属した名古屋大橋ジムの、スパーリング大会に塾生さんが出場できるよう大橋会長にお願いした。



大橋会長は快く受け入れてくれた。



試合の順番も、ラウンド数、ラウンドの時間も大橋会長は全て俺に決めさせてくれた。



7試合中、俺は3番手を希望した。



「いよいよ自分の番か」と試合の順番を待つ緊張感と恐怖、どんな結果になってもめげずに次の選手の為にリングを空け渡す敬意



この辺りを踏まえ3番手を希望した。ラウンド数や時間の短縮は塾生さんの瞬発力、スタミナと集中力の都合(笑)



このスパーリング大会の醍醐味を出来る限り、塾生さんに味わってほしかった。



対戦相手はなんと、大橋会長の息子さん。



大橋会長から息子さんのスパーリング映像も送ってくれた。息子さんはサウスポー(左構え)で完成度が高い。情報をしっかり送ってくれたフェアな大橋会長らしい。



俺も拳闘塾で塾生さんのミット打ち映像を送ったがちょっと情報不足で大橋会長に申し訳なかったかもしれない(笑)





小学生どうしの本気の闘いだ。



普通のスパーリング大会とはいえ、本格派の人が多い。今の時代当たり前のようになってしまった厳重なPCR検査も行われた。






鍛えぬかれた大人ばかりに混じった、小さな二人の選手。



「勝ちたい」

「緊張してたまらない」

「消えて無くなりたい」



そんな複雑な気持ちが俺の全身に響くように伝わってくるのではないか、と思ったが



緊張はしているものの塾生さんが闘ってる最中も精神的にそこまで追い詰められてるようには見えない。



無表情でコーナーに帰ってくる彼を見て「メンタルの強い子だ」と感じることができた。



結果は判定勝ちだったが接戦で、お互いが完璧にはペースを譲らない好試合だった。



試合後にその子達は一緒に遊んでいた情景が見て取れた。闘った人にしかわからない、ボクシングの素晴らしい所だ。





この日のスパーリング大会



大橋会長に頼んで良かった。








塾生さんの家族もきっと俺と同じ、若しくはそれ以上の気持ちだろう。





闘うリングの上は勝ち負け問わず闘う二人の選手が主役



もう俺が主役になることは、今後無い。



必要も無い。   



今度こそ



俺じゃない(笑)











最後は大橋会長と記念撮影。



なんか俺、変なポーズだ(笑)