私は16の夏にとある男に人生で初めて一目惚れをした。
名前も素性も知らないのに、なぜか全身を貫かれるほどの衝撃と高揚と覚えたのだ。
何とかして彼と話すことはできないだろうか、、
何とかして私の存在を認識しては貰えないだろうか、、、
当時縁もゆかりも無い他人であった私にできたのは、すれ違いざまに挨拶を交わすことだけだった。
彼が車から降りるタイミングを見計らってすかさず反対側から歩き出す。
気づかない振り、何も気にしてきない素振りをしながら1歩1歩前に進む。
1mもない距離になったとき、私は彼の目を見ずに挨拶の言葉をかける。
忙しそうに早歩きだった彼が一瞬だけ歩幅を緩めて私に挨拶を返す。
そして何事もなくそのまま歩きだして、だんだん私と彼の距離が遠くなり、彼が見えなくなった時に私は心底安心したし、1日が終わった時のような疲れも感じた。。
今この記事を読んでいる読者様は、この男と私がその後どうなったか気になるだろうか?
結論から言うと23歳となった今、私はこの男と食事に行ったりする仲だ。
当時からどう発展し、現在どういった間柄なのかは皆様の想像におまかせしたい。
話は戻るが、当時の私にとって、この思いが報われることは重要ではなかった。
男と女の関係に魅力は感じなかったし
とにかく彼の目に自分が映る瞬間が嬉しかっただけだ
恋は盲目ともいうし
追いかける時が1番生き生きしてるというのもあながち間違いではない
スタートがあってゴールがあるならば
自分はゴールするとやる気をなくすタイプである
追いかけるものがあり
そのために努力する自分がいる
試行錯誤を繰り返して失敗するときもあるし
たまに成果がみえるときもある
何も無いただの日常がその男が現れたおかげで
私にとって1日1日濃い記憶になったのだ
…
もしあの時、この男と会うことがなかったら
未だに誰かに心惹かれることはなかっただろう
理由もはっきりしないのに
なぜだか心が跳ね上がるように楽しかったあの頃
それが叶うのか叶わないのかではなく
今日がどうだったかが重要だったあの頃
恋愛は時間の無駄だという人もいるけれど
無駄な時間にこそ人生の面白さが滲みでていると思う
読者様の人生にはどんな歴史がありますか?
ぜひお聞かせ頂きたいものです。
最後までご拝読ありがとうございました。
from:こはる