アジアドラマにトキメキ!

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中国古装ドラマと原作小説、韓国史劇とその小説をこよなく愛するそこそこ年齢を重ねたおばちゃんのブログです

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第 12 章 原來(1)

今年の旧正月は特に早くやってくる。

クリスマスが過ぎてまだどれくらいも経っていないのにあっと言う間に春節になっていた。

 

当然の如く旧正月を祝う為にY市に帰る。

Y市はA都市から遠くはなく普段の運転でさえあれば三時間あまりなのに、年越しの道中は混雑していて以琛と默笙は早くに出発してY市に着いたのは既に午後一時は過ぎていた。

 

隣の人が長いこと静かにしているのに気が付いて以琛が思わず横を見ると、彼女は昨日からの緊張がまだ続いている。

 

何故Y市に着いて逆にそうなる?

 

默笙は丁度ぼんやりと窓の外を眺め、何度も長いこと以琛が彼女に留めている視線を感じていない。

 

以琛の瞳の中に訳の分からない不快感が浮かび、突然口を開いて彼女を呼ぶ

「默笙」

「えっ・・・」默笙は暫くしてからやっと反応して

「何?」

「君は麻雀はできる?」

 

麻雀?

默笙は自分が聞き間違えたと思う

 

「おばさんは麻雀が好きでね、君が出来ないとなるとたぶんとてもがっかりする」

以琛が晴れた空のような口調で逆に苦心して深刻に語ると、默笙はぎょっとして脳内でグルグルと回っていた考えは飛び去り、ただ”麻雀”の二文字だけが残って回転した。

「どうするの?私は大してできないわよ」默笙はかなり悩んでから

「どうして早く言ってくれなかったのよ。全く準備なんてできてないよ」

「今からなら準備も間に合うぞ」以琛は口元を上げてふっと笑って車を止める

「默笙、着いたぞ」

 

 

こんな賑やかな新年はどれくらい過ごしてこなかった?

 

窓の外は一面に雪が舞い、爆竹の音が絶え間なく聞こえてきて家族が一緒に輪になって座り、大晦日の晩御飯を食べて年を取った親のくどくどとした話を聞く

「あなた達二人は大きくなるにつれ親不孝になるのよね。一人は彼氏ができてもお母さんに教えてくれないし、一人は全く結婚したことすら言ってくれない・・・」

以玫は以琛に向かってお道化た顔を作ってから

「お母さん、午後に全部話したじゃない」

「滅多に子供は戻って来ないんだから、おまえは美味しいご飯を食べさせて、長ったらしくずっと畳みかけるんじゃない」

何父が言う

「あなたは多分私にうんざりしているのよね・・・」

何母が何父に代わって言い、母が生涯恐れている父はすぐに苦しい顔をした。

 

その先に続く方言は聞いていても理解できなくて、ずっと騒いでいるのを以玫に通訳してもらわなければならない。

以玫は煩わしくなり、一人の男はとぼけ始めて默笙は笑いながら聞いている。

外国の寂しい新年に慣れているせいかこの暖かい雰囲気の中で思い切って口を開けない感じがしていた。

 

食後、お母さんは案の定家族で麻雀を始めた。

以琛はずっと前に書斎に入って隠れ、以玫は積極的に食器洗いを申し出て、抵抗する勇気のないのはお父さんだけでそこに默笙と娘の恋人が参加する。

何母は何十年もやってきたベテランでしっかりとした技と力を持ち、何父は何十年も練習相手をしてきて自然と強くなり、以玫の恋人は仕事柄考えを巡らせるのに長けていた。

ただ可哀そうなのは默笙は何年も外国に滞在していたことで国粋に対して充分理解できていなくて、一時的に事に臨んで滅茶苦茶負けた。

 

以琛が書斎から出てきて全く信じられずに言う

「一時間足らずでよくもまあこんなに負けれるものなのか?」

默笙は凄く恥ずかしくて途切れ途切れにしゃべる

「巡り合わせが悪かったのよ・・・」

以琛は彼女の肩を叩いて立ち上がるように促して

「俺がやる」

 

これでやっと互角となり、默笙は横で見ていて見れば見る程面白くなってきてちっとも眠ろうとしなくなる。

以琛は二度無駄に追いやって最後には強張った顔をするので默笙はやむを得ず寝ることにした。

 

夜中に默笙は寝ぼけたままドアを開ける音を聞いて身体をよじってスタンドの明かりを点ける

「終わったの?勝ったのそれとも負けたの?」

以琛は布団を捲って横になりくたびれて元気のない顔をして

「おばさんの一人負け」

默笙は彼を睨んで

「あなた達、大の男が三人も揃って恥ずかしくないの!」

「何氏家訓。賭場に親も子も無し。ましてやおばさんが負けないと終わらないんだよ」

以琛は彼女を引っ張って胸に抱くと

「早く寝ろ。死ぬほど疲れたんだ。全て君が腑抜けのせいだ」

 

默笙は恥ずかしくてたまらない

日頃彼は仕事が忙しくて目が回りそうなのに、新年の帰省で更にこんな苦痛を受けて本当に同情する。

そして大人しく彼の胸に身体を寄せて眠りについてもう彼に喚かない。

 

しばらくして彼の温かい唇が彼女の首筋を彷徨うのを感じて微かに喘ぐ

「疲れているんじゃないの?」

「ああ!」以琛ははっきりしない声で

「更に疲れるのも悪くない」

 

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