松本清張の「陸行水行」を読んだ。
ずいぶん前に読んだのを、改めて地図を見ながら、読み返した。

この小説は、前半と後半で、テイストが大きく変わる。

前半は、邪馬台国の位置に関するこれまでの推論を紹介し、主人公が出会った四国のアマチュア歴史家の説を紹介する、というもの。

それが後半は一気に、推理小説というか、ミステリっぽくなる。

とても面白かった。

邪馬台国の畿内説、九州説の論争は知っているつもりだが、
改めて、魏志倭人伝の記述は確認しておくべきだろう。

水行

狗邪韓国(現在の木浦地方) → (七千余里) → 対馬国

対馬国 → (一千余里) → 一支国(壱岐)

一支国 → (一千余里) → 末盧国(通説では、佐賀県東松浦郡?)

陸行

末盧国 → (五百里) → 伊都国(通説では、福岡県糸島郡?)

伊都国 → (東南百里) → 奴国(通説では、博多付近?)

奴国 → (東百里) → 不弥国(ふみこく)

※この奴国から先の、不弥国、投馬国がどこなのか?

不弥国 → (南水行二十日) → 投馬国(つまこく)

投馬国 → (南水行十日、陸行一月) → 邪馬台国

この記述通り読んでいくと、邪馬台国は九州の南、海の中になってしまうため、
「南」を「東」の誤記と考え、東に展開し、畿内説が生まれる。

これに対し、この小説の登場人物である、四国の村役場で働くアマチュア歴史家は、
全く違う説を唱えるのだ。

邪馬台国論争の面白さは、
歴史的遺物があまり発見されておらず、この魏志倭人伝だけから
推測することが主流であるため、アマチュア歴史家も参加しやすい、
ベッドディテクティヴの対象となりやすいということだ。

このアマチュア歴史家の説は、別途、書くことにしよう。