池田信夫氏のブログや『金融日記』で紹介されていたので読んでみました。


感想を一言で表現すると、「ある価値観で生きている人の経験を追体験できるのが興味深い」という感じです。



「金で買えないものはない」というのがキーワード。

お金を追求した結果として満たされてきた欲望についての描写、”遊んでいる”人たちの中のヒエラルキーの説明などを読んでいると、筆者の価値観が伺えます。

こうした世界にあこがれる人にとっては、単純に刺激的な本になるかもしれません。

一方で、激しく欲望を追求して色々な物を得てきた人でなければわからないであろう、達成感や虚しさも表現されているのが面白いです。

勝手に解釈すると、何かを得ることそのものではなく、得ようとしてもがいていることこそが、人生の充実感の要素なのだと言われているようです。

菜根譚の「足るを知る」ではないですが、人生はなんとも難しい。



ちなみに、序盤の「おっさん」との出会い、企業のきっかけのシーンくらいまでは、小説っぽく人物や背景の描写が行われているのだけれども、途中からは、感想文や日記のような作風になります。小説ではなく、ブログを読んでいる感覚。

文章自体は読みやすいのだけれども、序盤を読んでの期待は裏切られます。

視点を変えて、ITバブル時代の寵児がどんなものの見方をしていたのかと言う点に興味を注ぐと面白く読めると思います。



拝金/堀江 貴文

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しばらく旅行に出て、更新しなかったため、危うく3日坊主になってしまうところでした。。

旅先の移動中に読んだ本について順次紹介したいと思います。



読書日記4冊目は、沢尻エリカと結婚したハイパーメディアクリエーターこと、高城剛氏の本。


著者に対しては、(失礼ながら)ワイドショーで見るその言動&風貌から胡散臭い人だな、という印象で、ややうがった眼で読み始めたのですが、要点が散漫でやや読みづらい文章だったことはともかく、面白い内容でした。


KOEの読書日記


本書は大きく3つのテーマを扱っています。

①世界の航空輸送市場におけるLCCのインパクト及びその将来性

②日本の航空市場の特異性、問題点、将来性

③「個人開国」の勧め



内容として注目すべきは、一つ目のテーマ、LCC。


LCC(Low Cost Career)とは、長年世界の空を独占してきた大手航空会社に対し、価格競争を仕掛ける新興の航空会社のことで、アメリカで初のLCC、SouthWestが登場してから30年で航空券価格の大幅な低減をもたらして来たといわれています。


価格競争のための、コスト削減手段としては、

 機内食の廃止、

 予約・チェックインなどインターネット手続の徹底による人員削減、

 賃金低い外国人パイロットの雇用、

 発着料の安い郊外の空港利用、

などが挙げられています。


素人(私)のイメージでは、航空会社のコストは飛行機本体購入費&整備費、及び燃料費がほとんどを占めているのだろう、と思っていたのでちょっと意外でしたが、確かに日本のスカイマークや、アメリカのAirTranなどに乗ると機内サービスやチェックイン手続きが簡略化されていることを思いだしました。


航空輸送産業みたいな初期のインフラ投資が大きそうな産業でも、運営費・人件費の占める割合は大きいのですね。


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リースを考えず、勝手に頭の体操をしてみると、



有名なボーイング747の価格は220億位とのこと。



たとえば東京―ソウルは1160キロ、燃料であるケロシンがリッター0.07キロ飛ぶそうなので、片道約20000リッターが必要。リッター40円だとすると、燃料費は80万円。(そんなに大きくないのですね。)



一方、満席の400人が一人4万円払うと、売上は1600万円。仮に、諸経費除いて1000万円ずつ利益をあげたとしても、220億をかえすためには、2200回飛ばねばならない、、、、



なかなか利益をあげるのは大変そうですが、たしかに運営費は航空チケットに大きく影響しそうです。

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本書によると、今後も世界全体の経済成長に伴い、航空輸送業界は発展していく見込みであり、LCCのシェアもますます高まる見込みとのこと。



ちなみに本書のタイトル、「70円で~」はキャンペーンか何かの価格であって、常態化されたものではありません。文中でもちょっとしか触れられていません。


現在、アメリカに住み、頻繁に格安航空券を使用している私としては、上手なチケット入手方法があるのか!?と期待しての読書だっただけに、そこはがっかり。さすがにミスリーディングなタイトルだと思います。




2つ目のテーマ、日本の航空産業については、

・成田空港の問題点(高い発着料、不足する滑走路、東京から遠すぎるなどなど)

・羽田空港の問題点(発着便が多すぎる、滑走路が少ない、成田との歴史的関係)

・日本の航空行政の問題点(将来ビジョンがない、規制によりJAL&ANAを守りすぎ、消費者本位でない、成田・羽田論争のせいでハブ空港のポジション取れなかった)

・LCCの未発達(国内市場が中途半端に大きいことにより世界で勝負できるLCCが育っていないという、他の産業にも共通する問題)


といった厳しい見方が述べられています。具体的な打開策はないものの、日本の航空行政がもつ問題点を広く捉えていて、勉強になります。




3つ目のテーマ、「個人開国」は高城氏の人生哲学のようなものでしょうか。本書の最後にとってつけたように、まとめとして掲載されています。


大まかに言うと、

自分で考えたことをまずは行動に移してみよう、見聞きするだけでなく実際に現地に行って触れてみよう、そうすれば世界は広がる!

というようなことが書かれています。


至極なっとく。大好きなアントニオ猪木の言葉と通じるものがあります。


人は歩みを止めた時に、

そして、

挑戦をあきらめた時に年老いていくのだと思います。

この道を行けばどうなるものか

危ぶむなかれ

危ぶめば道はなし

踏み出せば

その一足が道となり

その一足が道となる

迷わずゆけよ

行けばわかるさ


こうした哲学を実践している高城氏が格好よく見えました。
















3冊目は、”経営の神様”松下幸之助氏が日経新聞の「私の履歴書」欄に連載した記事をまとめた本。



そもそもが朝刊の読み切り用に書かれているため、読み進めやすい一方、話が少し細切れでした。(本書を構成し直した自伝が、PHP研究所から出版されているようです。)



KOEの読書日記


誕生時の家庭環境から丁稚奉公時代の体験談。弱冠22歳で独立・創業、戦前の不況下での発展、戦中の臨時対応。アメリカ統治時代から、戦後発展期まで、約半世紀にわたる同氏の人生を、時系列に振り返っています。


自叙伝ものにありがちな、気負った表現は一切なく、明快でとても読みやすい本でした。



経営者として、一代で世界的な大企業Panasonic、Nationalブランドを築き上げたことはもちろんのことですが、その他にも、今日の日本社会に当然のこととして定着している様々な制度を先駆けて導入しています。


主なものだけでも以下のとおり。

 ・週休2日制

 ・事業部制

 ・中長期の事業目標の公表

 ・労働組合を経営上重要な存在と位置づけ

 ・「経営能力」を金銭的な価値があるものとして評価



昨日読んだクラレの大原孫三郎氏と共通して、これが必要だ、という気づきの感性がピカピカに尖っていて、必要だと思ったことは先例にとらわれずまずやってみるという行動様式です。


さらには、やると決めたことについては自らの退路を断つかのように世の中に広くコミットしていく姿は、男性として、リーダーとしてなんとも魅力的です。



頭では理解できるけれども、いざ自分でできるか?と自問するとイメージが湧かない・・・などと泣きごとを言っていたら、同氏の講演会での以下の逸話をみつけました。(本書ではないですが)


(観客)「ダム経営(※)の理論は分かったが、具体的にどうすればいいのでしょうか?」

(松下幸之助氏)「ダム経営をやろうと思うことですな。」


※「ダム経営」:松下幸之助氏が唱えた経営手法。内外の状況の変化に大きな影響を受けず、いかなる状況でも着実に発展する経営。たとえ不況下であっても経営次第で儲けることができるとする。内部留保を貯め、資金ショートを防ぐのも一例。



ノウハウを得たいなど甘いことを考える前に、自分でやりたいと思うことに腹を括り、実践してみなさい、ということでしょうか。ごちゃごちゃ考えるよりまず実践。大いに反省です。



この他に同氏は「水道哲学」を唱えています。氏の言葉をそのまま使うと、


「産業人の使命は貧乏の克服である。その為には、物資の生産に次ぐ生産を以って、富を増大しなければならない。水道の水は価有る物であるが、乞食が之を飲んでも咎められない。それは量が多く、価格が余りにも安いからである。産業人の使命も、水道の水の如く、物資を無尽蔵たらしめ、無代に等しい価格で提供する事にある。それによって、人生に幸福を齎し、この世に楽土を建設する事が出来るのである。松下電器の真使命も亦その点に在る」


要すると、

商売を通じて、社会に必要な物資を満たすことは、幸福をもたらすことになる。社会の幸福のために、企業は利益をあげつづけなければならない、

といった感じでしょうか。


ちなみに、PHP研究所のPHPも「Peace and Happiness through Prosperity」の頭文字をとったもので、同じ哲学から来ているようです。



自らが必死に取り組んでいることが、人間社会全体に幸福をもたらす、こうした信念をもって生きることは、自信につながり、その自信が人間としての魅力になるのだと思います。



信念を持って腹を括る、そんな道をなんとか探し出したいと切に願わせてくれる一冊でした。