救急の現場では、様々な患者様がこれまた、
様々な理由や疾患でいらっしゃる。
そんな中でも簡単にお話し出来ない問題に
自殺や自殺未遂等も御座います。
自傷行為っていうのもあります。
CPR(心肺蘇生)も、もちろん行いますが、
残念ながら亡くなる事も多々御座います。
そんな時は、その患者様の事知らないけど、
すごく寂しい気分になり、さらには、どうにもならない
事かもわかりませんが、落ち込みます。
実際、こんな私ごときの陳腐な文章では書いてはならない
ような問題なのですが、私の心境を
聞いていただければ、聞いていただきたいという思いで
書こうと思います。
私は、心理学者でもカウンセラーでも精神科医でも
ありません。ですからこれから書くことも
私自身のあくまで、私見でありますので、
もし、これは違うのではないか?というような事が
あると思いますが、その辺は、最初にお断りしておきますが、
個人として感じている事ということで、お許し下さい。
とある女性の患者さんで手首を切って来院され、
腱断裂までしていたものですから手術になりました。
その時、手術室の師長が彼女に浴びせた言葉は、
「あんたねー死にたいなら包丁を胸に突き刺して
壁に激突したら死ねるから、そんな根性ないくせに。」
唖然としましたよ。傷ついている人に対して。
また、ある患者様は、精神科から頂いている薬を
多量にお酒とともに服用して、それでも落ち着かないので、
手首付近を沢山切りつけて泣きながら救急車で来院しました。
(自分で救急車を呼んだんですけどね)
その時、医師はその患者さんに、
「そんなに、かまってほしいなら昼間にやってよ、
俺はね、昨日の朝からずーっと働きづめで、他に重症の
患者も抱えているんだから、あんたの我がままに付き合うの
ハッキリ言って迷惑なんだよ。」って・・・・。
その後は、一応点滴の指示が出て、医局に戻りましたけど、
私ね、あまりに酷いと思ったので、その患者さんと、
点滴している間、ずーっと話してたんですね。
もちろん、自殺されては困るというのもありますけど。
その女性、まだ、20才を少し過ぎたばかりの方でした。
耳には、沢山のピアスをあけています。
何と声をかけたらいいのか分からなかったんですけど、
「何があったかは、分からないけど、辛かったんだね、
自分で救急車呼んだのは、凄く勇気がある事だよね、
誰かに助けてもらいたかったんだと思うけど、私に
何か出来るか分からないけど、気晴らしに、何か
話してみない?」
「まずは、私からね・・・私の名前は、・・・・って言います。
実家は、・・で、○人家族の末っ子長女、看護師になって
○年目で、仕事以外では、寝ている事が多いの。」・・・・
そんな話しをしながら、少しずつ自分の事を話し始めた
彼女・・・・。最初は泣いていたんだけど、話していくうちに、
笑顔も時々見せてくれて・・・・そんな気遣いを
しなくてもいいのに、それがとても私には、
痛かったっていうか・・・・こんな良い子なのにって。
(以下は、あくまでも彼女の感じたことや
私に話してくれた事なんだけど)
彼女の家庭は、経済的にもかなり恵まれていて、
弟さんもいて、傍から見たら何不自由ない家庭・・・
だけど、子供の頃から両親と自分の考えの違いに
悩んでいたんだけど、ある時期その感情が爆発
してしまったようで、それを期にアルコール依存症に
なってしまい、そんな彼女を両親は、持て余してしまって、
生活するお金を毎月両親は送金してくれるので、
今は、一人暮らしをしながら、時々アルコール依存症の
自助グループに顔を出したりしていたんだけど、
結局、そこにも自分の居場所がなくて、
お酒を飲みたいと思うたびに、ピアスをあけて、
痛みで紛らわせていたのだと言う。
そのうち、ピアスの痛みではどうにもならなくなって、
今日は、とうとう飲んでしまった・・・その罪悪感で、
やけくそになって、安定剤も沢山飲んでしまい、
それでも自分の飲みたい感情と、飲んでしまった
罪悪感と、言いようのない不安感で、自分の腕を
切り付けて、痛みで紛らわせようとしたのだが、
結局、どうにもならない感情が襲ってきたのだという。
私は、彼女自身ではないので、彼女の辛さや
孤独感、悲しみや絶望感・・・分かったつもりになれても
到底分からないのだけれど・・・・。
以降は、医療者としての立場から感じた事を書きますが、
ある程度の救急の病院には、精神科医やカウンセラーを
24時間常に配置するわけには、いきませんかねぇ。
若しくは、オンコールですぐに駆けつけてくれるとか・・・。
そう思う理由は、数々あるのですが、
病床を持たない精神科や心療内科などは、よっぽどでは
ない限り、夜中や朝方に対応は原則していません。
(本当は、夜間や突発的な場合、
病床付の関連病院にいつでも連絡がとれる状況の
クリニックがあれば、理想なんですけど)
また、予約制の所が多く、患者として緊急な場合に関して
対応してくれる所も少ないですし、
特に、自傷・自殺される場合、外科医や内視鏡の出来る
設備や医師がいないので、一般の救急にそういった
患者さんが来る事になるのですが、その場合、
医師も看護師も目に見える傷を処置するのですが、
心の専門ではないという理由では、到底言い訳できない
ような心ない言葉も浴びせてしまう人もいるのです。
また、病院という場所は、色んな病気を抱えた患者様や
その家族もいるのですが、患者様も家族も
看護師や医師に対して、要望や改善を望む事も多い
と思うのですが、それによって、気を悪くされるのではないか?
それを言ったことによって、一生懸命やってもらえないのでは
ないか?など等あると思うのです。
でもね、内部の別の部署のカウンセラーだとか医師に、
気軽に相談できる所があれば、ワンクッション置く
といった意味と、上から目線の見方も少なくなるし、
お互いにいい関係を築けるのではないかと思うんですね。
インシデントレポートの数も減るでしょうし、
ギスギスした人間関係の状態で、患者様を看護・診察
することは、実は、すごく危険だと思うんです。
私の言っている事は、理想論と思われると思いますが、
心の安定って、実は一番病気に効く薬って知ってました?
笑うって大事だし、笑いで癌も消えたりする事もあるんです。
とある中医学を学んだ方の奥様から
子供が生まれたら沢山くすぐって笑わせなさいって
言われました。それはね、肺や胃腸の働きを活発にして、
病気になりにくい元気な子供になるからなんだって。
いつもアホな事ばかり考えたり、言ったり、
ちょっと周りから浮いてる?って感じの私だって、
悩む事も落ち込む事もあるんですが・・・。
せめて、人が弱っている時にお会いする機会の多い
医師も看護師もコメディカルの方たちも
自分の専門科という枠を超えて思いやりを持ちましょうよ。
なかなか難しい事ではあるけど・・・・・。
そんな今日の私のボヤキ・・・・。