ベトナムの枯葉剤の被害者のべトさんが亡くなった。
私が彼らを知ったのは、まだ結合体の双生児ということで、報道されていた
彼らがまだ幼い頃だ。当時の報道のされ方は、ベトナム戦争の被害者というより、
映画フリークスのような扱い方で、お祭りの出し物のちびっ子プロレス(小人症の人)の
見世物のような感じを強く受けた。
すごく、嫌な報道だな、という印象を受けた。
それから数年後、自分が医療の道へ進み、生命の誕生に立ち会う機会もあり、
その尊い命は、決してすべてが順調だったわけでもなく、
自分が、生まれてきたことは、奇跡のような事の連続でしかなく、
当たり前にただ、普通に生まれたわけではありません。本当に奇跡的なことなのです。
たまたま私の関わったお産で、生まれてきた赤ちゃんがダウン症だったことがあり、
まだまだ新人の私は、はじめての事で、教科書通りの対応しかできず、
もっと何か出来たのではないかという思いで、落ち込みましたが、
今後のために色んな資料を集め、もっと、より産婦さんの力になれるような事が出来ないか、
合併症の多いダウン症の赤ちゃんの発育管理や哺乳管理など、
もっと、産婦さんの目線で、できないものかとか考え調べておりました。
そんな中、様々な赤ちゃんの症例を見ることになるのですが、
その時に、日本ではあまり見たことのない症例(エコーがあるので、初期の段階で分かるのですが)が
眼に止まりました。ベトナムでの妊娠・奇形の発生例を書いたものです。
胞状奇胎(ほうじょうきたい)別名ブドウ状妊娠・・・の妊婦さんだけが、
20人ほどの大部屋に集められ、同一症例が、他の病院でも同じだけいると書かれていました。
しかも、初期ではなく、みんな通常の妊娠の8ヶ月~10ヶ月のようなおなかの大きさです。
ショックでした。日本では、早い段階で心音の確認がエコー上で出来るので、
こんなに、大きくなるまで放置されることもありません。
それだけでは、ありませんが・・・・・。
本当に本当に罪深いことです。
そんな、何の罪もない子供が、いまだに苦しい立場で生まれているベトナム・・・・・。
その責任を一つもとらず、補償もせず、今もなお他国に、自分の正義を押し付け戦争という名の
侵略をつづけるアメリカ・・・・それでいて、慰安婦決議案を下院で通し、
日本に補償をせまる国、アメリカ・・・・本当にもやもやしています。
べトさんの死を無駄にしてほしくないし、お会いしたこともないけど、
一人の青年が亡くなった事が、本当に悲しい。
やすらかに、お眠り下さい。