夏の青空。


「いっくよー」


私の手から離れたボールがキレイな放物線を描いて落ちていく。


「…よっと、サンキュー葵!」


二階から投げ出されたバスケットボールをアイツは上手に受け取り、お得意の太陽のような笑顔を浮かべ、まるで子どもみたいに手を振っている。
いや、実際子どもなんだろうなぁ。
頭の中は。


「負けたら承知しないわよー」

「わーってるって!」


数回ドリブルをしてアイツは校庭へ走り去った。
よし、負けたらジュースでもおごってもらおう。


「相変わらず仲がよろしいですなぁ葵さぁ~ん?」


席に戻った私を待っていたのは、片手に購買の菓子パンを持ってニヤニヤしている友人だった。

「え?何が」

「またまたぁ、そんなわかんないフリしても無駄だよ~。わかってんでしょ?うりうり~」

「…ちょ……晴香、止めてよ…。てかそれ、クリーム垂れてる」


ぬわぁ!?っとオーバーリアクションを入れ、私が差し出したティッシュで机に落ちたクリームを拭き取る晴香。


「ところで晴香、アンタ進路決めた?」

「んー…、まだー…。よしっ、綺麗に拭けた!」