今回のお酒は『川中島幻舞』です。




 
原料米 雄町 100%使用
精米歩合 55%
アルコール分  17度
杜氏 千野麻里子
 
 今あちこちで高く評価され、注目されている銘酒のひとつですね。
 酒千蔵野様は長野県川中島町の蔵元。
 創業は天文9年(1540年)。戦国時代真っ只中です。全国でも7番目に古い蔵元であり(日本最古とされるのはこちらの須藤本家様)、川中島合戦の際、あの武田信玄がこの蔵元のお酒を飲んだのだとか。
 
(参考→酒千蔵野様のHPより蔵の歴史)
 
 武者震いがするのう!
 ……申し訳ありません。言いたかっただけです。『風林火山』は僕の好きな大河ドラマのひとつゆえ。
 そういえば、武田信玄の館は今は武田神社という神社になっているのはなかなか面白いお話。戦国大名、それも出家した人物を神様とするこのユニークさ、嫌いじゃないです。


(武田神社 筆者撮影 少し古い写真ですが……)

 いつも通り余談が過ぎましたかね。飲んでみましょう。
 
 上立ち香からして甘めの香りが。フルーティーなお酒なのがこれだけでも伝わってきそうな雰囲気。
 含む……むむっ!
 今までの雄町とは違うぞ?冷えている状態でも甘味がじんわりと染み込んで、落ちてくる……
 雄町らしいリンゴのような味わいと丸みのある飲み口が、口のなかで滑って、弾む!まるで絹というかベルベットというか。これはこの前の『会津中将』にも感じられた飲み口。
 そして、この余韻が消えません。切れません。
 どんだけの滞空時間だ……もうじき琵琶湖で開催される『鳥人間コンテスト』で言うところの、いつまでも落ちない機体みたいな。徐々に収斂していきますけど、それでも口のなかを滑空しながらコーティングを施し、長い余韻を残すこの味わい。
 この酸味や甘味や辛味に頼らず、"いい感じの余韻がこれでもかと言うほど長く続くお酒"というのを飲んだことは……一度だけあるな。『シャトー・マルゴー』という世界的に有名なメドック格付け1級の超高級ワインが……
 そんなのと比べちゃいけないのは分かってますけどね。とはいえ『幻舞』といい『マルゴー』といい女性的な印象のは共通しているのかも。
 余韻が長いのに関しては好き嫌いが分かれそうな感じさえもありますが、その意味ではいい意味でこの前の『百春』と対になっています。これもまたハマる人はものすごくハマるタイプだろうなぁ……長く旨味の余韻に浸りたい人とか。
 
 1日経つと、味わいもマイルドに。なんだかバニラっぽい香りも出てきたかな?桃というか、あんみつのような甘味も覗かせます。
 この様々な甘味が合わさった感覚……『山桜桃』を思い出すなぁ。そして、飲んだあとの余韻として残るツルツルなコーティング感は健在。
 
 2日目は軽く一杯のみ。疲れてましたので。
 前日と変わらない印象。
 
 3日目は落ち着いてきた感じ。
 余韻も短くなり、自然と切れていきます。桃やあんみつのような香りは相変わらず。 
 しかし相変わらず飲み口はいいので、透明感のある味わいを堪能できます。
 でも前日まで林檎とかバニラだったのがここまで変わるとは……いくら雄町の性質とはいえ、これはあたかもカレイドスコープ。千変万化だなぁ。たまげた。

 
 『百春』といいこの『幻舞』といい、個性がはっきりしているお酒を同じ時期に飲むとほんと感じます。日本酒界の天地は複雑怪奇なる情勢を生じた、と(お前は平沼騏一郎か)。
 それゆえ、六十余州の日本酒を色々味わねば……


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