聞いた話ですが、「辛口の日本酒ありますか?」という質問は酒屋ではあまり通用しないのだとか。
と言いますのも、日本酒は基本的に辛口だからです。日本酒度がマイナスにならなければ甘口とは言えないのだとか。それに辛味というのは五味(甘味、酸味、苦味、塩味、旨味)と異なり、味覚ではなく痛覚みたいですし。
"辛口の日本酒"という言葉は曖昧なんですかね。だとしたらこの言葉はあまり使わないほうがいいのかも。
むしろその点が目立つなら、日本酒を利く際は「どう辛いのか?」という点に焦点を合わせて評価したほうがいいのかもしれません。
というわけで、今回は『百春(ひゃくしゅん)』というお酒です。
岐阜県美濃市のお酒です。あまり来たことがない酒屋さんを覗いたときお勧めされたので買ってみた次第。
美濃市といえば、一昨日(2017年7月9日)放送の『THE!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)にて美濃和紙を用いた紙飛行機を飛ばしていました。美濃和紙や"うだつの上がる"建物だとかで知られているところですね。
結果は残念でしたけど……
原材料
掛米(富山県産雄山錦)
麹米(富山県産雄山錦)
精米歩合/60%
アルコール分/16.9度
日本酒度 +3.0
酸度 1.5
製造年月 29.6
スペックはかなり詳細に説明されています。「#20」とは20号仕込みという意味だそうです。
含むと……むむっ!
電撃を受けたかのような感覚が舌に……香辛料?
お勧めしてくれた店主さんは「舌にピリッとくるスパイシーな飲み口」だと仰っていましたがまさにその通りで、直汲みならではの微炭酸によるガス感というか、舌に生姜にも近いピリッとした痺れがやってきます。あとハーブ?ミントのようなブーケも。ミネラル感もあり。
少し遅れてメロンのようなトロピカルな甘味が覗かせてきます。もちろんしつこくない程度で、すぐにスパッとドライに切れていきます。食品工場の加工機械さながらのカットの速さとキレと正確性ですね。他にいい例えはなかったのか。
2日目以降はこのスパイシーさも落ち着いてきます。トロピカルなアロマが出やすくなりますが香辛料っぽいブーケは相変わらずで、しつこさの無い味わいは変わらず。辛味でキレる飲みやすいタイプになっています。
そして3日目……あれ?
メロンとか練乳っぽい香りは変わらずですが、ガスが抜けたからなのか甘口タイプのお酒と思えるほどに。甘いものに塩をかけたかのような感じです。
甘味が広がってはすぐに消える感じで、しつこさは全く無し。こうしたところに一本芯が通っている印象。"うだつの上がる日本酒"とはまさにこのこと。
面白いなぁ。 実に面白い。それでもって楽しい!
アル添の焼酎的なキレのある淡麗ではなく、ミネラルと香辛料的なスパイシフルを下地に構成された淡麗ドライな旨口タイプかと思いきや、すっきり系甘口の顔も覗かせるとは。
僕の友人のひとりは絶対ハマるな。というか間違いなくハマる人はすごくハマるタイプ。このお酒ならではの世界観があるんですもん。
ですが、世界観を構築する以前につくりも丁寧なので、僕としても満足。割と色々な人に勧められるタイプのお酒かも。特に「日本酒はキレ!」と思う人ならば是非!